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2019年01月08日

2019年度与党税制改正大綱(個人事業者事業承継税制)

2019年01月08日
2018年12月14日に自民党、公明党による2019年度(平成31年度)与党税制改正大綱が発表されました。

例年この時期に発表され、通常はこのまま2019年3月までには国会で承認され成立し、2019年4月から施行となります。

今回は、2019年度(平成31年度)与党税制改正大綱の内容のうち、創設される個人事業者の事業承継税制について確認しましょう。


個人事業者事業承継税制の概要


2019年(平成31年)1月1日から2028年12月31日までの間に、個人事業主が生前に子供などの後継者に事業を引継ぎする場合の事業に必要な土地や建物、自動車などの資産を引き継ぐ際にかかる贈与税や相続税の納税が全額(100%)猶予されます。
2018度の税制改正で、法人向けの事業承継税制が抜本的に拡充されましたが、個人事業者についても、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえて、個人事業者の事業承継を促進するため10年間限定で事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」が創設されます。


個人事業者事業承継税制の適用条件


個人事業の場合、個人事業主事業承継税制の対象になる事業用資産かどうかの線引きがあいまいで、節税として悪用される可能性があります。
そこで、個人事業者事業承継税制の適用を受ける場合には、
・都道府県に事業承継計画を提出し、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定を受ける
・後継者が死亡などの理由を除いて廃業しない
といった条件が設定されます。

また、相続税についてこの制度を適用した相続人は、相続税の申告期限から3年毎に継続届出書を税務署へ提出しなければなりません。

個人事業者事業承継税制の対象事業用資産


個人事業者事業承継税制が適用となる事業用資産(「特定事業用資産」といいます)は、次のものです。

被相続人の事業(不動産貸付事業等を除く)の用に供されていた次の資産など
・土地(面積400uまでの部分に限る)
・建物(床面積800uまでの部分に限る)
・その他減価償却資産(固定資産税又は自動車税等の課税対象となっているものその他これらに準ずるものに限る)


(出典:中小企業庁)

相続人の猶予税額免除


事業を引き継いだ相続人が次の場合には、猶予税額が全額免除されます。
・亡くなるまで特定事業用資産を保有し、事業を継続した場合
・相続税の申告期限から5年経過後に次の後継者へ特定事業用資産を贈与し、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受ける場合
など


(出典:中小企業庁)

個人事業者事業承継税制の注意点



10年間の時限措置


個人事業者事業承継税制は、10年間の時限措置で、恒久的な措置ではありません。
この税制の適用を受けるには、2019年(平成31年)1月1日から2028年12月31日までの間に、贈与を実施するか相続が発生しなくてはなりません。


(出典:中小企業庁)

相続税猶予の場合の注意点


個人事業者事業承継税制を相続税について適用する場合には、次の注意点があります。
・相続人は、相続税の申告期限から3年毎に継続届出書を税務署へ提出しなければなりません。
・被相続人に借入金などの事業用債務がある場合には、特定事業用資産の価額から事業用債務の額を控除した額を猶予税額の計算の基礎とします。
・特定事業用資産である土地について「小規模宅地等の評価減」の特例の適用を受けることはできません。

贈与税猶予の場合の注意点


個人事業者事業承継税制を贈与税について適用する場合には、次の注意点があります。
・贈与者が死亡したときは、特定事業用資産(既に納付した猶予税額に対応する部分を除く)をその贈与者から相続等により取得したものとみなし、贈与時の時価評価をし、ほかの相続財産と合算して相続税を計算します。
なお、都道府県の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予の適用を受けることができます。



■2019年度与党税制改正大綱関係記事
・2019年度与党税制改正大綱の概要
・2019年度与党税制改正大綱(贈与税非課税関係)
・2019年度与党税制改正大綱(中小企業関係)
・2019年度与党税制改正大綱(所得税関係)
・2019年度与党税制改正大綱(その他の相続税関係)



【投稿者:税理士 米津晋次
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