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2025年08月06日

国税庁が各種申告書など改定へ(令和8年度導入の新システム「KSK2」に向けて)

2025年08月06日
 こんにちは。名古屋市緑区の税理士 米津晋次です。

 国税庁は、現在運用している国税総合管理システム「KSK」から、令和8年度に次世代システム「KSK2」に移行しますが、これに合わせて、申告書等の一部書面について改定が進められます。


現行「KSK」での問題点



 国税庁は、2026年(令和8年)9月から、国税庁の基幹システムである国税総合管理システム、いわゆる「KSK」から次世代型の「KSK2」へと全面移行します。

 「KSK」には、納税者の申告書や申請書などの情報を蓄積してきましたが、基本的に紙ベースでの取り込みが多く、従来のOCRシステムではスムーズにいかないことも少なくなかったようです。
 そのため、読み取りが不充分な場合は、税務署員が再度入力することも多く、手間やKSK内でのデータ連携などで課題を抱えていました。

AI-OCRによる書面の自動読み取りとデータ化



 新システム「KSK2」では、これらの課題を解決すべく、AI-OCRによる書面の自動読み取りとデータ化が進められます。
 従来のOCRは、紙や画像データに含まれる文字をコンピュータで読み取り、テキストデータに変換してきました。
 このOCR機能にAI(人工知能)技術を利用して、機械学習による文字識字率の向上などが図られます。
 具体的には、「フリーピッチ枠の文字認識」となり、文字枠のない体裁に手書きした文字の認識を想定しています。
 そのため、実際に公開されているドラフト版の申告書などでは、金額を記入する枠欄が無くなっています。
 また、ドラフト版では、二次元バーコードや様式IDなどが印字されており、読み取り精度が大幅に向上されます。

AI-OCRに対応した申告様式の見直し


 そのため、国税庁ではAI-OCRに対応した申告様式の見直しを進めており、令和7年の中旬に初回の公開を実施し、その後も、現在稼働しているe-Taxの改修内容を反映して、順次、仕様公開を実施する予定としています。


 現在、帳票レイアウト(ドラフト版)について情報提供を国税庁HPで行っており、2,300種類以上の申告書・申請書等の様式が公開されています。

 → AI-OCR化対象帳票レイアウトの提供について(国税庁)

税務調査の高度化


 国税庁では、「KSK2」の導入に伴い、「納税者情報の横断的な一元管理」「調査官による外部アクセス」「e-Tax通知の電子化拡大と利便性向上」などを図る狙いがあります。


納税者情報の横断的な一元管理


 現在は法人部門や個人部門など縦割り行政となっているため、部門を超えて蓄積された情報を見ることができません。
 これを「KSK2」では部門を超えた横の連携を可能にし、税務調査などに利用されます。

調査官による外部アクセス


 現在は、調査官が出先から「KSK」にアクセスできません。
 「KSK2」へでは調査官が出先からのアスセスを可能にし、調査の迅速化と精度向上が図られます。

その他


 なお、新システム「KSK2」では、e-Taxで受領可能な通知の範囲が大幅に拡大され、納税者が事前に同意すれば原則すべての通知をe-Taxで受け取れるようになります。
 これにより、郵送の手間が省け、よりスムーズな手続きが可能となります。


【投稿者:税理士 米津晋次
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