ミニコラム
◆雇用保険の加入者数の通知ハガキ発送
厚生労働省は10月1日から順次、雇用保険の適用事業所に被保険者数を通知するハガキを送ることを発表しています。
これは雇用保険の適用漏れを防止するために出されるもので、雇用保険に未加入とされたものに対する適用期間の改善措置が行われることに伴い、事業所に被保険者数(22年7月31日現在)を確認していただくためのものです。
ハガキの加入者数と実際の加入対象労働者数が違っている時には管轄のハローワークで手続きをする必要があります。
加入者の氏名のリストを確認したいときはハガキの事業主印欄に押印のうえ、ハローワークに提出すると確認することができます。(ハガキ提出で被保険者を確認できるのは平成23年3月31日まで)
◆雇用保険の加入手続きが漏れていた場合
離職した方が雇用保険の失業手当を受けることのできる日数は、年齢、被保険者であった期間、離職理由などによって決められますが、離職に伴って失業手当の給付を受けようとする際、雇用保険に加入していたことが要件となります。
平成22年10月1日から雇用保険の加入手続きが漏れていた場合、従来は2年までしか遡り加入はできませんでしたが2年を超えても加入できるようになりました。
2年を超えた期間について加入手続き漏れがあった時は次のいずれかの書類を添付して手続きをします。
①給与明細
②賃金台帳
③源泉徴収票
なお、労働保険料も2年以上遡って加入した場合の雇用保険料納付もできるようになりました。
◆遡り加入ができる方
遡り加入ができる方は次の方です。
- 在職中の方
- 平成22年10月1日以降の離職者(平成22年10月1日以前に離職した方は対象ではありませんが、離職後1年以内に雇用保険を受給せず、資格取得した方はその時点から新たに対象となります。)
2年以内の遡り加入は従来通り労働者名簿や雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などで雇用されていたことが確認できる書面を添付して加入手続きができます。
◆源泉分離課税所得についての還付申告
財産評価通達は預貯金・貸付金などについて、相続開始日の解約利息の手取額を相続財産として計上することを要求しています。
これらは、利息請求債権です。
利払日の到来により相続課税された利息の受け取りがある場合、これは利息債権の回収に過ぎませんので、これにより新たな課税所得は発生しません。
しかし、現行所得税関係法令においては、利子等の所得について、他の所得と区分しての15%の税率課税を定め、他方で同率での源泉徴収をすることにしています。相続課税済部分を含めてです。いわゆる源泉分離課税です。
申告行為と無縁になるようにすることを定めているのです。
とは言え、申告を禁止しているわけではないので、相続課税済みの利子所得については、年金二重課税判決と同じく、課税された所得税の還付請求はできるはずです。
◆配当期待権についても
相続開始日において予想できる配当金の手取額を相続財産にすることも要求されていますので、この配当請求債権の回収行為として受け取る配当金も、課税済債権の回収に過ぎないものですから、二重課税部分については、確定申告により清算することになります。
◆その他の未実現債権
訴訟中の損害賠償請求債権や生命保険契約に関する権利も相続財産にすることが要求されています。
これらの請求債権も、将来において収入が実現するときには、すでに相続財産とされた部分は課税済債権であり、その債権回収に該当する収入部分には課税は及ばない、ことになります。
確定申告をする際には、実現収入を課税済み部分とそれを超過する部分とに分け、必要経費があるときには、それを収入比で按分し、課税済み額を超過する部分のみの収入経費で所得計算するのが、法令の適用としては順当です。
◆営業権や著作権などは償却
特許権や著作権や営業権も相続財産にすることが要求されています。
これらは請求権ではありませんが、将来の何年かに亘り収益の確保に貢献しながら、その収益が得られなくなるに連れて消滅するもので、その経済的実質は似ています。
基本的には、二重課税判決の対象の年金基本債権の場合と同じ扱い、同じ計算をすべきです。
◆固定資産税とは?
固定資産税とは、毎年1月1日に土地・家屋・償却資産を所有している人が、固定資産の価格を元にして算出された税額を、それら固定資産の所在する市町村(東京都特別区の場合は都)へ納める税金のことをいいます。
一方、固定資産税と併せて課税される都市計画税は、都市計画法によって固定資産税の対象と同一の土地・家屋を所有している人に課税される目的税です。
◆どのように課税されるの?
固定資産税の税率は一律1.4%ですが(地方税法350①)、都市計画税については条例で税率が定められています。
例えば23区内は0.30%ですが、武蔵野市は0.20%です。また納期についても23区内は6.9.12.2月ですが、武蔵野市は5.7.12.2月です。
但し、市区町村の各区域内に同一人が所有する固定資産の課税標準額の合計額が、それぞれ土地30万円・家屋20万円未満の場合は、固定資産税が課税されません。
ところで、課税される土地の地目は、必ずしも登記と同じではなく、現況によって評価されます。
また、市町村がどのようにしてそれらを評価し課税しているのか、一定の手続により回答を得られるようです。
◆償却資産税については?
償却資産とは、土地・家屋以外の事業用資産(但し自動車税等の対象となる車両は除く)で、所得税法又は法人税法の所得の計算上減価償却の対象となる資産をいいます。
償却資産に該当するか否かが争われた判例があります。
賃借人(納税者)が、いわゆる「スケルトン貸し(裸貸し)」といわれる賃貸借契約により、賃借人(納税者)が建物に付加して設置した事業用資産の所有権は賃借人に帰属するとし、固定資産税を負担すべき者は家屋の所有者ではなく、内部造作を使用している賃借人(納税者)である、と判断されたものです(東京地裁平成18年(行ウ)第669号、東京高裁平成19年(行コ)第125号)。
固定資産税の市町村税収額における割合はおよそ40%(都市計画税と合わせると50%)となっていることからも、市町村にとっては重要な財源です。
◆国保の加入に保険料軽減措置制度創設
22年4月から、会社を退職し国民健康保険(以下国保)に加入する場合、離職理由によっては保険料が軽減される制度が設けられました。
この制度は離職の際、退職の理由が会社都合である場合、例えば人員削減や事業廃止による解雇等の特定受給資格者や、契約期間満了による離職に際しての契約更新の希望の有無や、一定の自己都合退職による場合の特定理由離職者(厚労省令で定められている理由)が退職して国保に加入する時は前年の給与所得を実際の額の3割とみなして保険料を算定します。
◆任意継続か国民健康保険か
通常、退職者は退職前に加入していた健康保険の任意継続制度か国保かを選んで加入しています。
任意継続では、退職時給与の健康保険料(協会健保では月給が28万円より高い場合は28万円とみなした保険料)を本人と事業主負担分を合わせた金額を負担するか市区町村で定めた国保保険料を負担するかという選択をします。
この時点で失業中でも、前年の所得が高い人は国保料も高くなるので任意継続を選ぶ人も多かったようです。しかし、国保の軽減措置制度が出来て国保の方が安くなる場合もあります。
このような時は国保の窓口に保険料額を確認する事がよいでしょう。
◆制度利用には事前に問い合わせを
軽減される期間は離職日の翌日から次の年度の末日までで21年3月31日以降に離職した人は22年度に限って保険料が軽減されることとなっています。会社都合退職なのにすでに任意継続を選んだ場合でも保険料納付を止める事で国保に切り替えもできます。
市区町村の国保窓口では特定受給資格者や特定理由離職者を本人の雇用保険の受給資格者証の離職理由によって判断されているようですので、この制度を利用する時は事前に相談するのがよいでしょう。
会社においては退職する本人の雇用保険の離職理由が健保の任意継続と国保の保険料の比較となってくるので離職票作成の際は厳密な離職理由の記載が大事になってくるでしょう。
◆離婚の財産分与では分与側に課税
離婚の際の財産分与では、分与を受けた側には贈与税も所得税もかかりません。
それに対して、分与した側には、税金がかかる場合があります。
分与した側が居住不動産や有価証券などで分与義務を履行した場合です。その場合には、譲渡所得税の対象となります。
(逆にいえば、現金を分与した場合は所得税はかかりません。)
この理屈は、世間の常識とは相当に異なります。
分与側に税金がかかるなら、その財産分与契約には重大な錯誤があったので無効、という主張で裁判を起し、結果的に課税処分の取消しも獲得した、という事例もあります。
◆分与側に課税する理屈
たとえば、財産分与と離婚慰謝料と併せて5000万円の支払いをするとして、これに充てるため取得費2000万円の不動産を5000万円で売却して支払った人と、その不動産を金銭支払いに替えて離婚相手に引き渡した人とは、同じ課税関係になければ公平ではありません。
不動産を他人へ売却した場合には、確定申告での譲渡所得の申告が必要で、ここで課税されます。
また、法解釈上財産分与は譲渡行為に含まれており、財産分与だからと言う理由での特別な配慮規定はありません。
財産分与義務という債務の弁済のために金銭ではなく、モノによる代物弁済をしたという理解が課税の理屈です。
◆分与を受ける側の非課税の理屈
婚姻中の夫婦は共同して財産形成をしているので、財産が一方だけの名義の場合には、もう一方には、共有財産としての顕在的な持分は認められないものの、潜在的な持分があり、財産分与の場合にそれを清算する請求権として顕在化することになる、と解されています。
従って、財産分与請求権という債権の弁済として離婚相手から金銭や不動産その他の財産を受け取る、ということなので、無償の贈与にはなりません。
◆分与側の課税への注意点
自宅を売却した場合には3000万円の特別控除や軽減税率の適用がありますが、これは夫婦や直系血族等の間での取引では適用できません。
したがって、離婚のための準備行為として早々に財産分与による名義変更をおこなったような場合には、特別控除が使えない場合が起こり得ます。要注意です。