ミニコラム

2010/05/18  《コラム》更正処分の原則と例外

2010/05/18 掲載

《コラム》更正処分の原則と例外

 

◇更正処分のできる期間の原則

所得税などの税金の確定は本人からの申告に拠りますが、税務署長もそれを変更する権限を持っています。

その権限行使を更正処分といい、期限内申告書に対する(増額)更正処分には法定申告期限(平成21年分の場合は平成22年3月15日)から3年以内、(減額)更正処分は5年以内という期間制限が付されています。(なお、脱税で刑事訴追を受けるようなケースでは7年です。)

◇そもそも申告義務がない場合

給与所得者である納税者が医療費控除を受けるための平成21年分の還付申告書を平成22年1月10日に提出した、という場合、この申告書には申告義務、すなわち法定申告期限がないので、この還付申告書についての(増額)更正処分の期限は、その申告書を提出した日から3年以内となり、平成25年1月10日が処分可能期限となります。

◇期限後申告だと3年縛りを超えることも

申告義務のある者が期限に遅れて、期限後申告書を提出した場合には、(増額)更正処分の期間制限は、法定申告期限から3年を経過する日と期限後申告書提出日から2年を経過する日のいずれか遅い日まで、となっています。

ただし、最長5年が限度なので、4年9ヶ月で出した期限後申告では更正処分可能期間は3ヶ月しかないことになります。

◇期限内申告でも3年縛りを超えることも

判決があったこと等に基づいて5年前分の申告について更正の請求をしたことに関連して4年前分の所得税額が増加するような場合には、3年経過後にかかわらず、更正の請求に拠る更正があった日から6か月間であれば、期間制限の特例により(増額)更正処分をすることができることになっています。

◇増税のない場合の増額更正は5年

繰越損失の額を少額なものにする更正処分は増額更正の仲間ですが、損失額の発生年度の額の変更に関しては3年ではなく、5年の期間制限です。

ただし、その更正に伴い3年を超える過去の期間について納税額が算出されたとしても、それは期間制限により更正処分の対象になりません。

2010/05/18  《コラム》更正の請求の原則と例外

2010/05/18 掲載

《コラム》更正の請求の原則と例外

 

◇更正の請求のできる期間の原則

所得税などの税金の増額修正は修正申告により納税者自らが行えますが、減額修正は税務署長にしか権限がありませんので、納税者は減額修正の請求を税務署長にすることになります。

これを更正の請求といいますが、それには期間制限があり、法定申告期限後1年以内とされています。

◇法定申告期限がない場合

給与所得者である納税者が医療費控除を受けるための平成21年分の還付申告書を平成22年4月10日に提出した、という場合、この申告書には法定申告期限がなく、期限後申告ということになるものではないので、この還付申告書についての更正の請求期限は、その申告書を提出した日から1年以内となり、平成23年4月10日が提出可能期限となります。

◇法定申告期限がない場合でも

先の例で、平成21年分の還付申告書を平成22年1月10日に提出した、という場合には、更正の請求期限は、申告書提出後1年以内の平成23年1月10日ではなく、一般の法定申告期限から1年以内のいずれか遅い日であれば行うことができる、とされているので平成23年3月15日が提出可能期限となります。

◇1年以上経過している場合でも

平成19年分の売上げを平成20年分に計上していたため、平成19年分について平成22年3月19日に修正申告書を提出したという場合、それに伴い、翌年分の平成20年分の確定申告に係る所得税の額が過大となるような時には、修正申告書を提出した日の翌日から2か月以内に限り平成20年分の所得税について更正の請求をすることができます。訴訟が確定したような場合も同じです。

◇更正の請求の撤回可能性

確定申告書は、提出と同時に所得税額が確定するため、原則として、撤回することはできません。(申告義務のないサラリーマンの申告書のみは例外的に撤回可能です。)

それに対し、請求や届出等は、「法律上の効果が発生するまでは撤回することができる」ものと解され、一旦提出した更正の請求書でも未だ更正処分が行われていない場合には、撤回することができます。

2010/04/27  《コラム》医療と介護の負担軽減

2010/04/27 掲載

《コラム》医療と介護の負担軽減

 

◇高額医療・高額介護合算療養費制度

同世帯の中で同時期に医療保険や介護保険を支払い、両方を合算した額が一定の基準を超えた場合に自己負担額を軽減する措置が新たに設けられました。

◇支給要件は?

健康保険の被保険者とその被扶養者が平成20年8月~平成21年7月に支払った医療保険・介護保険の自己負担額(高額療養費及び高額介護サービスの支給額は除く)の合計額基準額を超えた場合に支給されます。

①以後、毎年8月~翌年7月までの1年間に支払った医療保険・介護保険の自己負担額が対象

②入院時の食事代、差額ベッド代は対象外

③基準額を501円以上超えた時が対象

◇支給される一例と申込方法

(被保険者・被扶養者とも70歳未満で所得が一般の方の場合の例)

一年間で一人が医療保険53万円、もう一人が介護保険で44万円を支払った場合、年間負担額の合計は97万円となり、基準額(67万円)を超えた金額30万円が支給されます。

支給申請は介護保険(市区町村)の窓口で申請手続きをして介護保険の自己負担額の証明書の交付を受け、これを添付して協会けんぽや健康保険に申請します。

平成20年4月から21年7月までに、現在加入している以外の健保に加入していて、現在の健保に移ってきた方は、以前に加入していた医療保険の窓口への手続きも必要です。

◇基準額 ( )内はH20.4-H21.7の額

・70~74歳の方

①高齢受給者証の負担割合が「3割」となっている場合 67万円(89万円)

②①③④以外の場合 56万円(75万円)

③被保険者が市区町村民税非課税の場合 31万円(41万円)

④③のうち、被保険者とその被扶養者全員の所得が一定以下の場合 19万円(25万円)

・70歳未満の方

①被保険者の標準報酬月額が53万円以上の場合 126万円(168万円)

②①③以外の場合 67万円(89万円)

③被保険者が市町村民税非課税の場合 34万円(45万円)

2010/04/20  《コラム》資本金の額と法人税制

2010/04/20 掲載

《コラム》資本金の額と法人税制

資本金とは何か、そして、その金額は何処にあるのか、との素朴な問いの返答には苦慮します。

難しい資本金概念の通説的な解釈は別として、資本金の額は、一般的には、会社の事業規模、信用度等を現す主要な指標の一つであることには間違いないようです。

このことを考慮してか、法人税制(国税及び地方税を含む)では「資本金の額」によって税率や租税特別措置法等の適用範囲について異なる取扱をしています。

主な項目について、「資本金の額」による税制上の取扱の違いを見てみましょう。

◇法人税法・消費税法における取扱上の違い

1)法人税率

資本金1億円以下の法人で年間所得金額800万円以下の部分に対する税率は22%です(現在は時限措置で18%)。

2)交際費の損金算入限度額

交際費の損金算入限度額は、①期末資本金1億円以下の場合は、年間400万円(現在は時限措置で600万円)但し、10%部分は課税、②期末資本金1億円超の場合は、ゼロです。

3)設備投資減税

資本金1億円以下の法人で一定の要件を満たすものは、

①取得価額30万円未満の少額減価償却資産については年間300万円まで取得時に全額損金(原則、資産計上の上減価償却)

②一定の機械装置及び器具備品、ソフトウエア、大型貨物自動車等の取得には、取得価額の30%の特別償却又は取得価額7%の税額控除が適用できます。

4)貸倒引当金の繰入限度額

貸倒引当金は、原則、過去3年間に貸倒の実績がなければ繰入れることができませんが、資本金の額が1億円以下の法人の場合、法定繰入率による繰入れが可能です。

5)消費税の納税義務

資本金の額1,000万円未満の法人は、設立当初の2年間は納税義務が免除されます。

◇地方税法における取扱上の違い

1)法人事業税の外形標準課税

資本金1億円以下の法人には、外形標準課税(所得割額+付加価値割額+資本割額)の適用はなく、所得割額のみです。

2)法人県民税(都民税)の税率

資本金の額1億円以下でかつ法人税額が年1千万円以下の法人は、税率が軽減されています。

2010/04/06  《コラム》家事消費の税務

2010/04/06 掲載

《コラム》家事消費の税務

 

■「家事消費」とは

商品などをお客さまに売るのではなく、自分や家族のために消費することを「家事消費」と言います。魚屋さんが店先にある秋刀魚を夕食の材料にしたとか、ラーメン屋さんがラーメンを店内で家族に食べさせる、というようなことです。

家事消費は、商品仕入が経費となっているのに対応して自分への売上という扱いになります。仕入価格又は販売価額の70%とのどちらか多い方の金額を売上金額としなければなりません。

商品などの消費に対する特例なので、償却資産の家事使用の場合とか、サービス業での自己サービスの場合には出番のない規定と言えます。

■消費税法での違い

消費税法にも所得税法と同じく家事消費の規定がありますが、見比べると3つの違いがあります。

消費税法では、消費だけでなく「使用」をも対象にしています。したがって対象資産も消費目的の棚卸資産等のみならず、使用目的の事業供用資産をも含みます。

それから、売上金額とすべき金額は仕入価格又は販売価額の50%とのどちらか多い方の金額とされています。

■「使用」を対象とするわけ

商品その他の資産の購入だけでは所得や損失は発生しません。しかし、消費税の課税仕入は購入時に発生してしまいます。ここが所得税と消費税の異なるところです。

所得税で償却資産を家事使用することにした場合には、減価償却費について家事部分の費用化を遠慮します。

しかし、消費税では購入時に通常、全額課税仕入としてしまっているので、あとで家事使用した場合には過去の課税仕入の変更ではなく、その使用の時にその使用資産を譲渡したものとみなして対応するわけです。

■家事使用の程度

通達で、「事業の用に供している自動車を家事のためにも利用する場合のように、家事のためにのみ使用する部分を明確に区分できない資産に係る利用」というようなものは「使用」に該当しない、としています。

そんなに神経質にならなくてもよい、との趣旨のように読めます。

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