ミニコラム

2010/07/27  《コラム》小規模宅地等の評価の見直し

2010/07/27 掲載

《コラム》小規模宅地等の評価の見直し

今年の税制改正で、相続税の小規模宅地に関して大きな見直しがなされました。

◆事業又は居住の不継続の場合の50%

被相続人が事業又は居住の用に供していた宅地等については、事業又は居住の継続を問わず、200平方メートルまでにつき50%の減額ができる、という制度が廃止されました。

ただし例外があります。いわゆる『家なき子』の相続取得に関してのみは、居住物件について非居住のままでも、申告期限まで所有継続であれば、特定居住用宅地等の特例の適用(減額割合80%)を容認しつづけています。

◆一人でも特例適用者がいれば

一の宅地等について共同相続があった場合には、その共同相続人のなかに、配偶者または居住継続相続人がいれば、その人の相続分割持分がたとえ百万分の1であったとしても、他の持分者全員に特例適用(減額割合80%)される、という制度が廃止されました。

改正後は、取得者ごとに適用要件を判定することになり、おいしい類が及んでいた非居住継続相続人には特例適用不可となりました。

◆一部でも特定居住用宅地であれば

一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに、特定居住用宅地の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、すなわち、マンションの一部が居住用で他が貸付用その他というように、わずかの一部でも特定居住用宅地等の要件に該当していれば、建物全部について特例適用(減額割合80%)される、という制度が廃止されました。

改正後は、特例適用部分ごとに按分して軽減割合を計算することになりました。

◆居住物件は複数でもよかった

特定居住用宅地等については、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確にしました。

従来は複数の居住用宅地の存在が許容されるような規定振りであったため、係争が起き、当局が敗訴の憂き目をみたところでした。

◆3月以前相続の場合は

これらの改正は、平成22年4月1日以後に開始する相続について適用されます。申告がこれからのものでも、3月以前に相続発生のものは以前の有利な規定がまだ使えます。

2010/07/20  《コラム》消費税 課税資産の譲渡等とは

2010/07/20 掲載

《コラム》消費税 課税資産の譲渡等とは

消費税の課税対象は、

①「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等(資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供)」



②「保税地域から引き取られる外国貨物」とされています。前者は国内取引、後者は輸入です。

消費税は、あくまで「国内消費税」という位置づけがなされているので、国外取引は課税対象外(不課税)ということになります。

したがって、納付すべき消費税は、原則、国内における課税資産の譲渡等に係る消費税から国内における課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物に係る消費税の合計額を控除して算出します。

控除不足額が生じれば、消費税額は還付です。

◇事業活動が海外、国内本店は指令機能

最近では、中小企業でも第三国間取引や海外での事業活動(現地調達、現地生産、現地販売等)の比重が増え、国内の本店は指令機能しか有しない場合もあります。

極端なケースでは、国内での課税資産の譲渡等に係る消費税がほとんどなく、本店の事業は、金融資産の運用益たる受取利息といった、非課税売上のみということにもなりかねません。

このような場合、国内での課税資産の譲渡等に係る消費税額がないので、国内における本店運営費等(人件費を除く)の課税仕入れに係る消費税額が控除できなくなるのではないかという懸念があります。

◇課税売上割合と課税資産の譲渡等

課税売上割合は、国内における資産の譲渡等の対価の額の合計額と国内における課税資産の譲渡等の対価の合計額とをベースに計算することになっています。

一方、課税資産の譲渡等とは、非課税売上として消費税法6条に規定されているものを除き、その譲渡等の場所が国内、国外を問わないことになっています。

したがって、国外での事業収入のほとんどが課税資産の譲渡等に該当します。

それゆえ、国内での課税資産の譲渡等に係る消費税額がなくても、個別対応方式により(課税売上割合が95%に満たない場合の仕入れ税額控除の規定)、国内における課税仕入れに係る消費税については、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入」として、その関連付けを明確にすることにより仕入税額控除が可能です。

2010/07/13  《コラム》どうなる労働者派遣法の行方

2010/07/13 掲載

《コラム》どうなる労働者派遣法の行方

 

◇登録型派遣や製造業派遣が原則禁止に

08年から09年にかけ、製造業では、景気悪化から大量の派遣社員の雇用打ち切りがニュースとなった事は記憶に新しい事ですが、労働者派遣法の改正案が国会に提出されました。

それによると改正の大きな柱は①日雇派遣の原則禁止と②仕事のある時だけ働く「登録型派遣」派遣や日雇い派遣は原則禁止とされる事となっています。

 

◇派遣規制は二段階で行われる

①の日雇い派遣は2カ月以内の短期派遣や日雇い派遣は禁止されることとなり、施行は公布から6カ月以内ですので早ければ年内にも施行される事もあるかもしれません。

②の登録型派遣とは派遣先が決まった時点で期間を定めて雇用契約を結びますが、雇用が短期で断続的になりがちです。

改正法案では通訳など専門26業務を除き禁止、製造業派遣についても常時派遣会社と雇用契約を結び派遣先との仕事がない時でも派遣元との雇用を続ける常用型派遣以外認めないとしています。

こちらは公布から3年以内に施行されますが、登録型でも、一般事務等の需要の高い業務はさらに2年の猶予期間があります。

その他の改正点では、派遣会社がグループ企業に派遣する時は派遣される者の割合は8割以下にする必要があります。

親会社が労働者を転籍させて派遣社員で再雇用することを防ぐためとしています。

又、契約期間を超えて派遣社員を雇用している場合は、派遣社員が直接雇用を申し込める「直接雇用みなし制度」も創設されます。

さらに、退職した人を派遣社員で受け入れることは離職後1年を経なければならないとしています。

 

◇規制が柔軟な働き方を難しくすることも

全体には非正規労働者の雇用安定を目指す内容ではあるのですが、企業では直接雇用による負担増になる事を懸念し派遣労働者の活用に慎重になったり、中小製造業では海外移転の動きも加速する事も予想され雇用環境の悪化の恐れもあります。

いずれにしても施行されるのが3年先だとしても派遣元も派遣先も適正な請負、直接雇用、労働者派遣の3つを使い分ける準備に取り組まざるを得ないのかもしれません。

2010/07/13  《コラム》わかりにくかった解散後事業年度

2010/07/13 掲載

《コラム》わかりにくかった解散後事業年度

 

◇会社解散等の清算所得課税の廃止

平成22年度税制改正により、法人税の清算所得課税は廃止され、通常の各事業年度の所得課税に移行することになりました。

課税所得の計算構造については、期限切れ欠損金の損金算入や完全親会社への青色欠損金の引継ぎ等の重要改正がありました。

 

◇みなし事業年度はどうなったか

なお、解散に伴うみなし事業年度の規定には変更はありませんでした。

変更はなかったものの、みなし事業年度については、 旧商法の改正と会社法の立法に際して、税法の規定は表面上何も変わらなかったのに、会社法が変わったことにより、税法のみなし事業年度規定には実質的に大きな変更があったので、ここで復習しておきます。

◇旧商法と法人税の旧解釈

旧商法では、会社が解散等によって清算した場合の営業年度等に関する規定は特になく、解散後においても会社定款等の定めの営業年度等によると解釈されており、税法上もこれを承けて、解散によって、通常の事業年度が分断された場合、その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び、解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間が、それぞれみなし事業年度となると規定されていました。

◇新会社法と法人税の新解釈

これに対して、新会社法では、株式会社が解散して清算が開始する場合には、解散の日の翌日から一年の期間を清算事務年度とする、という新しい規定を設けました。

そのため、清算事務年度に入った場合には、会社の定款がどのような定めをしていたかとは無関係に、清算日の翌日が事業年度の期首日となり、毎年これが繰り返されることになりました。

税法の条文は変更されませんでしたが、その事業年度開始の日から解散の日までの期間についてのみなし事業年度は従来と変わらないものの、解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間、の意味がまったく変わってしまい、みなし事業年度ではなく、本来の事業年度となりました。解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間、は新会社法でそのまま1年と定められたからです。

◇解散の日は適切に決めよう

この清算事業年度は定款ではなく、法律の規定に依っているので、事業年度の変更をすることもできません。

長期の清算期間を予定するときには、区切りのよい日を清算日とすることも肝要です。

2010/06/29  《コラム》株主優待利益への課税

2010/06/29 掲載

《コラム》株主優待利益への課税

 

◇株主優待制度の人気

“株主優待券”を株主に支給する施策は個人株主作りや自社製品・施設の宣伝等の経営目的をもって行われており、上場企業の実施数は約4分の1くらいのようです。

所有株数に応じて、優待内容が変わることが多いものの、所有株数に完全比例はせず、概ね名義ごとに付与されるため、零細株主であるほど金銭に換算した利回りが高いようです。

それゆえ個人投資家に人気があり、個人株主を増やしたい企業は積極的に実施しています。

◇株主への利益還元ではあるが

株主優待による収入の所得区分は、一見すると配当所得に区分されそうですが、株主に対して法人が与えた経済的利益であっても、法人の利益の有無に関わらず支払われるものは、いわゆる利益の配当又は剰余金の分配とは性質が異なるものとされるため、配当所得からは除かれ、原則として雑所得として分類されています。

◇雑所得に申告不要はない

従って、配当所得ならば申告不要の制度があるのでこれに該当すれば申告漏れでも問題はないのですが、雑所得ということになると、原則として、確定申告の対象になります。

ただし、税額計算をしても納税額が出ない人や、年末調整の適用のあるサラリーマンの場合で給与所得のほかの申告を要する所得が20万円以下というときは確定申告をしなくても差し支えありません。

◇厳密に考えると申告漏れしていそう

給与以外の申告を要する所得が20万円近い場合は、株主優待券などによる所得があることによって、確定申告をしなければならないことにもなります。通常に確定申告する人の場合は、少額だから申告から除外してもよい、との規定はないので、株主優待利益は申告書に常に反映させるべきということになります。

◇非課税所得という実態

しかし、優待の物やサービスがいくらの所得と評価計算すべきかはなかなかの難題です。

金券ショップなどで換金した場合はその金額が所得収入となりますが、そのような換金価値が不明なものや優待券等の自己利用では所得額のみならず所得の事実の補足も困難です。

株主優待利益を申告しているという話を聞いたことがなく、税務統計もみたことがないので、実態的には事実上の非課税所得となっていそうです。

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