ミニコラム

2019/05/24  《コラム》ビニールハウスの固定資産税課税もれ

column


愛知県蒲郡市は、2019年5月20日に、農業用ビニールハウスの固定資産税で申告漏れがあり、今年度分から過去5年間分をさかのぼって調査、課税していく方針を示しました。
詳細はこちらから

2019/02/06  《コラム》信用は見られている!銀行から初めて事業向け融資を受けるために必要なコト

column

こんにちは。名古屋の税理士 米津晋次です。
今回は、銀行融資の話をします。

あるサラリーマンの話。ひょんなことからあぶく銭を手に入れ、銀行口座の預金が1000万を超えたころ、銀行から唐突に電話がかかってきました。
「融資や投資に関するお話をさせて頂きたいので、一度お会いすることはできませんか?」

もちろん、自分が開設した銀行、支店からの電話であるのですが、ふとした疑問が浮かびました。
「なんで俺の預金額見てるの!」

彼はこのときに“お金がお金を呼ぶ“ことを理解しました。そして、融資する銀行側も返済さえ行ってもらえれば、貸付金利でお金を回収できるというリアルな裏側を見た気がしました。
実は、このようなカラクリを知っているかどうかで銀行融資の審査にも影響してきます。

これから先は、銀行から初めて事業用資金の融資を受ける場合、どんなことに気を付けたらいいのかを説明します。

詳細はこちらから

2019/01/19  《コラム》支払調書の発行義務

column

こんにちは。名古屋の税理士 米津晋次です。
所得税の確定申告真っ最中です。
この時期によくお客様へ個人の取引業者から依頼があるのが「確定申告で使用するので支払調書を発行してほしい」というものです。
依頼を受けた多くの企業は、義務かと思って発行されています。
多くの企業も発行していますから。
ここに大きな誤解、悪しき慣習があります。
詳細はこちらから

2018/12/02  《コラム》税金に関して年末までにすること・確認すべきこと。節税、消費税、NISAなど

column


こんにちは。名古屋市緑区の税理士 米津晋次です。

年末までわずかな時期に、税金に関してやるべきこと、確認すべきことがいくつかあります。

今回は、税金に関して年末まですべきこと、確認すべきことについて記載します。
項目によってはすぐにすべきものもあります。
今すぐに下記をご覧ください。

贈与税

【1,贈与税暦年贈与の非課税】

贈与税には、「暦年課税贈与」と「相続時精算課税贈与」の2種類があります。

通常適用する「暦年課税贈与」には、1年あたり110万円の非課税枠があります。
言い換えれば、年間110万円以下の贈与には贈与税はかからないのです。

なお、ここで、1年というのは、1月1日から12月31日ということです。
ということは、110万円を超える贈与をする場合には、1年で一括贈与するよりも、複数年に分ければ贈与税が少なくなります。
うまくやれば、贈与税が不要になることもあります。
この暦年課税贈与の110万円非課税枠を使う場合には、年内に贈与をすると有効です。
12月と翌年1月に分けるだけで、非課税枠2年分を受けることができるからです。

参考→暦年贈与の非課税枠は110万円。申告・計算方法とその活用法・注意点

【2,贈与税相続時精算課税制度の贈与税の非課税】

「相続時精算課税制度」は、親から子の世代への贈与をスムーズにすることを目的に作られたものです。

この「相続時精算課税制度」を選択すると、生前に贈与をした場合には、累積2500万円の贈与まで贈与税がかかりません。
累積贈与が2500万円を超えた場合には、超えた財産評価額の20%の贈与税を納税します。

ただし、その代わりに相続のときには、生前に贈与された財産と相続された財産を足した額に相続税がかかるという制度です。
相続税の非課税枠内の相続であれば、相続税も0円となります。

この相続時精算課税制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、税務署へ「相続時精算課税選択届出書」を提出します。
相続時精算課税制度を使って、早く財産を子などへ移転をした場合には、年内にどれだけの贈与をするのかを決定する必要があります。

詳細→相続時精算課税の選択(国税庁)

【3,住宅取得資金についての贈与税の非課税】

2015年(平成27年)1月1日から2021年12月31日までの間に、実の父母や実の祖父母など(「直系尊属」といいます)から居住用不動産を取得するための資金の贈与を受けた場合には、次の非課税枠までは贈与税はかかりません。
住宅の新築などの契約日 省エネ等住宅 省エネ等住宅以外
2015年12月31日まで 1,500万円 1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日 800万円 300万円
この「住宅取得資金についての贈与税の非課税」制度の適用を受けるには、たとえ贈与税が0円になる場合であっても、贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税の申告書を税務署に提出しなければなりません。

この規定を利用した贈与を検討している場合には、贈与を年内に行うのかどうかを決定する必要があります。

参考→住宅資金贈与の非課税|概要と条件、必要書類、贈与税申告方法・書き方

【4,教育資金を贈与した場合の贈与税の非課税】

2013年(平成25年)4月1日から2019年(平成31年)3月31日までの間に、30歳未満の人が、教育資金に充てるために実父母又は実祖父母から贈与を受けた場合には、1,500万円までについては、贈与税が非課税となっています。
この教育資金を贈与した場合の贈与税の非課税規定の適用を受ける贈与を年内にするかどうかを決める必要があります。

この非課税規定の適用を初めて受ける場合は、教育資金の領収書等をもって金融機関等の支店等へ出向き、教育資金贈与非課税専用の普通預金口座を開設し、その金融機関等を経由して「教育資金非課税申告書」を税務署に提出します。

詳細→祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(国税庁)

【5,配偶者へ贈与した場合の贈与税の非課税】

配偶者へ居住用の不動産、又は、これを購入するための資金を贈与されたときには、2000万円まで贈与税がかかりません。
この優遇規定のことを「贈与税の配偶者控除」といいます。

なお、配偶者控除の非課税以内の贈与で贈与税が0円になる場合でも、配偶者控除の適用を受ける人は、必ず翌年3月15日までに贈与税の申告書を税務署に提出しなければなりません。

詳細→夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除(国税庁)をご覧ください。

ふるさと納税

【1、ふるさと納税実質2000円負担上限】

ふるさと納税では、実質2000円の負担ですむ寄付の上限額があります。
つまり、寄付金合計額から2,000円を差し引いた税額が、所得税や住民税から控除(又は還付)されます。


この上限額は、所得によって異なりますが、毎年1月1日から12月31日の累計額となります。

【2、上限額まで余裕があれば年内追加を考える】

まずはすぐに、このふるさと納税実質2000円上限額まであとどれくらい余裕がありそうかを計算しましょう。
そして、まだ余裕がありそうな場合には、年内にふるさと納税を追加で行うかどうかを決める必要があります。

詳細は→ふるさと納税の年末期限・駆け込み|振込、コンビニ、ワンストップ特例は注意

NISA

NISAとは、株式や投資信託等のキャピタルゲイン(売却益)や配当についての税金が0円になる制度です。正式名称は「少額投資非課税制度」といいます。


【1、NISA限度額】

NISAでは、株式等への年間の投資額の限度が決まっています。
2015年までは年間100万円が上限額でしたが、2016年からは20万円増額されて年間120万円まで投資できることとなっています。

NISA口座を開設している場合には、今年の投資額が上限までどれだけの余裕があるのかをまず確認しましょう。

そして、NISA口座での今年の投資額にまだ余裕がある場合には、12月25日ぐらいまでに追加投資をするかどうかの決断が必要になります。

詳細は→12月末までにチェック!:NISA限度額

【2、NISAロールオーバーの選択】

NISA(少額投資非課税制度)には、年間投資額の上限のほかに、売却益や配当金が非課税となる期間の限度があります。
その限度期間は、5年です。

5年の満了期間期限までに、翌年のNISA投資へ移す(ロールオーバーする)か、課税口座(特定口座など)に移すかを決断しなくてはなりまません。

ロールオーバーすれば、またそこから5年間の非課税措置を受けることができます。

一方、何も手続きしないと、自動的に課税口座へ移されてしまいます。

まずは、年内にこの選択をすべき投資があったのかどうかを確認しましょう。

そして、今年で非課税期間が満了となる年に投資した株式等のうち、現在まだ保有している株式等がどれだけあるのかを確認します。

詳細は→NISA口座が満期に。ロールオーバーするかどうかの選択が必要


株式売却益に税金がかかりそうな場合

【1、株式売却益の税金は20%】

個人の場合、1年間の株式売却益については、20%(所得税15%、住民税5%)の税金が課税されます。
今年売却益が出ている場合には、このままだと20%の税金がかかってしまいます。


【2、株式売却益の節税方法】

多くの人は、この税金を何とか安くしたいなあ、と思いますよね。
そんな場合には、今年まだ間に合う節税方法があります。
それは、スバリ!含み損がある株式を売却して、その売却損と相殺をすることです。

節税になるといってもその株式を手放したくないということもありますね。
そのような場合でも、一度今年中に売却して、その後買い直せばいいのです。

なお、NISA口座の場合は、売却益が非課税ですので、このようなことをする必要はありません。

【3、株式売却年内期限は12月25日ごろ】

特定口座の場合は、例年12月25日ぐらいまでに売却しないと翌年扱いになります。
※曜日によって異なります。

さあ、どうするのかを決断してください。

注意点・詳細は→12月末まで→大至急チェック!:株式売却益

消費税選択

【1、消費税簡易課税制度選択・不適用】

◆消費税簡易課税制度とは

個人事業者や法人が納付する消費税は、原則として、次の式で計算されます。

・消費税納付税額=(1)-(2)
(1)売上や雑収入など、消費税課税売上取引代金と一緒に受けた消費税額
(2)仕入や消耗品購入など、消費税課税取引に伴って支払った消費税額

この計算方法を「本則課税」方式と呼びます。

もし、2年前の課税売上高が5000万円以下であれば、「簡易課税制度」の選択もできます。

消費税簡易課税制度の納付税額計算方法は、次のとおりです。

・消費税納付税額=(1)-(2)

(1)売上や雑収入など、消費税課税売上取引代金と一緒に受けた消費税額
 これは、本則課税と同じですね。
(2)(1)×みなし仕入率
 本則課税とは、これが異なります。
 簡単にいえば、実際にいくら消費税を払っているかに関係なく、売上と一緒にもらう消費税と業種で納付額が決まるというものです。

本則課税方式による消費税納付税額よりも、この消費税簡易課税制度による消費税納付税額が少なくなりそうであれば、簡易課税制度を選択するとお得というわけです。

◆みなし仕入率

・第1種事業(卸売業):90%
・第2種事業(小売業):80%
・第3種事業(製造業等)農林・漁業、建築業、製造業など:70%
・第4種事業(その他)加工賃、飲食店業など:60%
・第5種事業(サービス業等)運輸・通信業、金融・保険業、サービス業:50%
・第6種事業(不動産業):40%

◆消費税簡易課税制度を始める・やめる場合には事前届出が必要

この簡易課税制度を選択しようとする場合に提出するのが「消費税簡易課税制度選択届出書」です。
選択した消費税簡易課税制度の選択をやめようとする場合には、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署に提出する必要があります。
この届出書を提出しないで勝手にやめても認められません。

ただし、消費税簡易課税制度の適用を受けた日の属する課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、この届出書を提出することはできません。

◆提出期限は前年末

いずれも、簡易課税制度を選択・やめる年の前年末までに、税務署に各届出書を提出しなればなりません。
うっかり届出書の提出を忘れると、原則として、簡易課税制度を始める・やめるがもう1年伸びることになりますのでご注意ください。

年末の提出期限までに判断をしなくてはなりません。

詳細は→消費税各種届出書|届出書の内容、期限や提出期間に注意が必要なもの

【2、消費税課税事業者選択・不適用】

◆免税事業者が課税事業者になることもできる

本来、免税事業者になる事業者が、主に消費税の還付を受けるために、あえて課税事業者になることを選択することができます。
なぜ、課税事業者を選択するかというと、免税事業者の場合は、建物など高額なものを購入したことにより、支払った消費税額が売上等で受け取った消費税より多くなっても、差額である消費税の還付は受けられないからです。
この場合は「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出します。

◆課税事業者をやめて免税事業者に戻る

反対に、本来、免税事業者になる事業者が、課税事業者を選択することをやめて免税事業者に戻ろうとする場合には、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出します。
この届出書を提出しないで勝手にやめても認められません。
ただし、課税事業者選択不適用届出書は、「課税事業者選択届出書」を提出した直後に提出できるわけではありません。
課税事業者を選択したら、原則2年間は課税事業者を続けることを強制されます。
さらに、100万円以上の固定資産を購入した場合などには、3年間は課税事業者の継続が強制されることになります。

◆提出期限は前年末

いずれも、消費税課税事業者を選択・やめる年の前年末までに、税務署に各届出書を提出しなればなりません。
うっかり届出書の提出を忘れると、原則として、簡易課税制度を始める・やめるがもう1年伸びることになります。

年末の提出期限までに判断をしましょう。

詳細は→消費税各種届出書|届出書の内容、期限や提出期間に注意が必要なもの

個人事業主の節税対策

【1、小規模企業共済】

◆小規模企業共済とは、加入資格

小規模企業共済は、簡単にいえば、個人事業者や小規模会社の役員のための退職金制度です。
独立して自分で事業をやった場合は、退職するからといって退職金が支給されることはありません。
自分で用意しなくてはなりません。
個人事業者や小規模会社の役員に自分で退職金の用意をしてもらいたくて国がつくった制度なのです。


この「小規模企業共済」制度への加入条件を簡単に説明すれば、
・常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主または会社の役員等
ということになります。

加入条件の詳細は→小規模企業共済加入資格(中小機構)

◆掛金は全額所得控除

この「小規模企業共済」の掛金は、月額1000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選ぶ事ができます。
なんと言っても小規模企業共済の魅力は、掛金が全額が課税対象所得金額から引いてもらえることです。
積立金なのに税金計算で引いてもらえるってうれしいですね。
それも年払いが可能です。

◆年払い始める手続き期限は12月中旬

小規模企業共済にまだ加入していない方は、12月中旬までに年払い手続きすれば、1年分の掛金分所得控除が受けられます。

詳細は→個人事業主や小会社経営者の節税の王様「小規模企業共済」

【2、中小企業倒産防止共済(セーフティ共済】

◆中小企業倒産防止共済とは・加入資格

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、国が運営する中小企業のための共済制度です。
その目的は、取引先が倒産した場合に、掛金累計の10倍(上限8,000万円)まで融資が受けられるというものです。
加入できるのは、業種別に資本金と従業員数の制限があります。
たとえば、製造業、建設業、運輸業その他の業種は資本金3億円以下、従業員300人以下のいずれかを満たす必要があります。
サービス業は、資本金5,000万円以下、従業員100人以下ですし、
小売業は、資本金5,000万円以下、従業員50人以下です。

加入資格の詳細は→経営セーフティ共済加入資格

ただし、創業1年以内は加入できません。

◆掛金は積立なのに全額必要経費になる

掛金は掛け捨てではなく積立です。したがって、解約するとほとんどが戻ってきます。
加入から40か月積立すれば、掛金の100%が、積立期間が40か月未満でも、12か月以上であれば最低80%が戻ってきます。

この中小企業倒産防止共済の掛金の範囲は、月額5,000円から20万円まで(5,000 円単位)です。
積立限度額は800万円で、それ以上積立はできません。

このように掛金は積立ですから、税務上本来は損金(必要経費)にはなりません。
しかし、国はこの中小企業倒産防止共済への加入を促進させるために、掛金を全額必要経費にすることを認めています。
だから、節税対策に適しているのです。

◆年払い始める手続き期限は12月中旬

この倒産防止共済は、年払いもできます。
したがって、まだ加入していない場合、12月中旬までに加入手続きをすれば、掛金の1年分(最高240万円)を必要経費にすることができるのです。

詳細は→経営セーフティ共済(中小機構)

【3、個人事業主のその他の節税対策】

節税対策するために、不要なものを購入したり、無駄な飲食をすることは、確かに税金は安くなりますが、それ以上に持ち出しが多くなり本末転倒です。

主な正しい節税対策をご紹介しましょう。
節税対策 説明 注意点
前倒し修理 翌年修理予定のもの、調子が悪いものの修理を年内に行う 年内に修理を完了させる
前倒し備品購入 翌年購入予定のパソコンなど10万円以下のものを年内購入する 年内に納品+使い始める
不良在庫の廃棄 売れそうもない在庫を廃棄する 日付が入った写真を撮る等証拠を残す
壊れた固定資産の廃棄 もう使わない固定資産を廃棄する 日付が入った写真を撮る等証拠を残す
従業員への決算賞与 臨時決算賞与を支払う 年内に支払い完了。専従者は税務署への届出の範囲内
チラシ等の作成・配布 チラシ等の販促物を作成して配布する 年内に配布(残ったものは在庫扱い)

【投稿者:税理士 米津晋次

2018/08/14  《コラム》金売買を使った消費税還付スキームについて思うこと

column

こんにちは。名古屋市緑区の税理士 米津晋次です。

今回は、消費税還付スキームが題材です。

◆消費税還付を受けられないか

賃貸用マンションを購入した際には、多額の消費税を支払います。

土地には消費税はかかりませんが、建物には消費税がかかるからです。

5000万円×8%=400万円
1億円×8%=800万円


これだけの消費税を支払うのですから、何とか消費税の還付を受けたいところです。

しかし、そう簡単に消費税の還付を受けることはできません。

消費税の申告で控除してもらえる支払消費税は、課税売上に対応するものだけだからです。

賃貸用マンションがすべて居住用なら、その家賃は非課税売上で課税売上は0円ですので、普通なら消費税の還付は1円も受けられないのです。

消費税還付スキームの歴史

しかし、そんな税制の規定でも、居住用マンションの場合でも、何とか消費税の還付を受けられないかと、従来からいろいろな消費税還付スキームが行われてきました。

1,自販機設置の消費税還付スキーム

賃貸用マンションの敷地に自販機を設置して課税売上高を発生させるスキームがありました。

「自販機スキーム」と呼ばれていました。
マンション購入課税期間から消費税課税事業者を選択します。

そして、その課税期間に自販機を設置してその売上で課税売上をつくり、同時に非課税売上の家賃の発生を翌課税期間からにするようにして、課税売上割合を100%にし、支払った消費税の全額を還付を受けます。

さらに、課税事業者選択の最低継続期間である2年間を終了したところで、免税事業者に戻るか、消費税簡易課税制度を選択して、3年めの「課税売上割合が著しく変動した場合の消費税の調整」を逃れるというスキームです。


◆参考:課税売上割合が著しく変動した場合の消費税の調整

課税事業者が、100万円以上の一定の固定資産(「調整対象固定資産」といいます。)について支払った消費税額について比例配分法により計算した場合で、その課税売上割合が、その取得した日の属する課税期間以後3年間の通算課税売上割合と比較して著しく増加したとき又は著しく減少したときは、第3年度の課税期間において仕入控除税額の調整を行います。

通算課税売上割合が著しく減少した場合には、次の金額を第3年度の課税期間の仕入控除税額から控除します。







(出典:国税庁HP)

居住用賃貸マンション投資の場合、通算課税売上割合がほとんど0%に近くなりますので、購入年度に還付を受けた消費税のほぼ全額を3年めの消費税申告時に支払うことになるので、この規定の適用を避けたいのです。


※調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、消費税抜きの価額が100万円以上のものをいいます。

ただし、この「自販機スキーム」は、次の平成22年4月の税制改正により多くの場合、その効果がストップしました。

◆平成22年度の税制改正による「自販機スキーム封じ」

平成22年度の税制改正では、免税事業者が「消費税課税事業者選択届」を提出し、2年間の選択強制適用期間中にアパート・マンションなどの高額特定資産を取得した場合には、その後3年間は免税事業者に戻ること及び簡易課税を選択することが禁止されました。

つまり、マンション取得後3年後に行われる「課税売上割合が著しく変動した場合の消費税の調整」を逃れることができなくなり、購入時に還付を受けた消費税は3年後に返還を求められることになりました。

※「高額特定資産」とは、消費税抜き1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。

【2,強制適用期間経過後にマンションを取得する消費税還付スキーム】

その後に考えられたのは、2年間の課税事業者本則課税強制適用期間適用後に居住用賃貸マンションを取得するというものです。

平成22年度税制改正による「「自販機スキーム封じ」は、2年間の強制適用期間中にアパート・マンションなどの高額特定資産を取得した場合にのみ適用される規定でした。

そのため、自販機を設置しておいて、2年間の強制適用期間中ではなく、その後にマンションを購入して3年目の消費税の調整規定を逃れようとするものでした。

◆個人の場合の消費税還付スキーム

「消費税課税事業者選択届出書」を提出後、強制期間の2年を経過するまで待ち、その後に建物を取得することで消費税還付を受けます。

◆法人の場合の消費税還付スキーム

法人を設立して「消費税課税事業者選択届出書」を提出後、3期を経過するまで待ち、その後に建物を取得することで消費税還付を受けます。

いずれも、「自販機スキーム」と同様、家賃の発生を遅くして、取得課税期間の課税売上割合をできるだけ高くすることがポイントです。

◆平成28年度の税制改正による消費税還付スキーム封じ

平成28年度の税制改正で、課税事業者が、簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に高額特定資産の購入を行った場合には、その高額特定資産の購入日の属する課税期間からその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度は適用しないこととなりました。

わかりやすく説明すると、次のようになります。

(1)課税事業者を選択した2年間の課税事業者本則課税強制適用期間に限らず、高額資産を購入した場合には、3年目の消費税の調整規定を受けるようになった。
(2)基準期間の課税売上高が1000万円を超えたことにより自動的に課税事業者になった場合でも、高額資産を購入した場合には、3年目の消費税の調整規定を受けるようになった。

これにより、「2年間の強制適用期間経過後にマンションを取得する消費税還付スキーム」は封じられることになりました。

※高額資産とは、消費税抜き1000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。


最新の消費税還付スキーム

過去2回の税制改正でもまだ封じることができない消費税還付スキームが考えられています。

それは、金の売買を利用した消費税還付スキームです。







現状の税制での消費税還付成功条件

現状の税制で消費税の還付を受けるためには、次の2点を達成することが必要です。

(1)マンション購入課税期間に課税売上をつくり、非課税売上を発生させずに課税売上割合を100%に近づける
(2)通算課税売上をほぼ100%にして、3年目の消費税の調整の適用を受けない

金の売買を利用した消費税還付スキーム

そこで登場するのが、金の取引です。

金を売却すれば課税売上になります。

それだけでは、お金が足りませんのでどうするかというと、金を売却したらすぐに金を購入し、また売却することを繰り返すのです。

金の取引業者に対する手数料分手取り金額は減少していきますが、還付を狙う消費税額に比較すれば、手数料はとても少額です。


家賃収入の見込みが100万円で、金の売買を繰り返して900万円の課税売上を作れば、もう課税売上割合は90%になります。

家賃収入が1000万円の場合には、課税売上割合90%にするのに9000万円の課税売上を作らなければなりません。

そんなの不可能に思いますが、1週間に1回金を売買すれば、年50回できますから、1回130万円の金を売れば達成できてしまう計算です。

少額資金で充分可能なのです。


さらに、じつは、課税売上割合は90%も上げる必要がありません。

3年めの消費税額の調整規定の適用があるのは、通算課税売上割合が1年目の課税売上割合に対して50%以上変動した場合です。

1年目の課税売上割合が100%とすると、通算課税売上割合が50%を超えれるだけで消費税額調整規定の適用を免れるのです。


ということは、金の売買を利用すれば、少額資金で通算課税売上割合が50%超を達成するのは、とても優しいですね。


注意点といえば、余裕をみて、2年め、3年めの各課税売上割合を50%は維持することでしょう。

消費税調整規定の適用のある3年めを経過すれば、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を事前に提出しておき、免税事業者に戻ったり、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を事前に提出しておき、簡易課税制度の適用を受けるようにすれば、金の売買は不要になります。


金の売買を利用した消費税還付スキームのデメリット

金取引を利用した消費税還付スキームにはいいことばかりではありません。

◆(1)金取引手数料と売却損の発生

金取引には手数料が1回15,000円程度かかり、さらに、売値と買値の差額(1.5%~2.0%ほど)は損することになります。

もちろん、金には相場がありますので、売却益が発生することも稀にはあるかもしれませんが、売却損が拡大する場合もあります。

◆(2)税理士報酬の発生

また、この金を利用した消費税還付スキームをサポートする税理士に報酬が発生することが多いです。

成功報酬として、還付消費税額の20%ぐらいを請求されるのが相場のようです。

◆(3)法人税では金取引による手数料や売却損を否認される可能性あり

会社というものは、利益を上げるためにいろいろな取引をするものです。

このスキームの金の売買は、損をすることがわかっている取引を繰り返すという会社では本来ありえない取引をすることになります。

このような不自然な取引については、いくら税法上問題がないといっても、税務署側にはその取引による損金を否認することができるようになっています。

「同族会社の行為計算否認規定」といいます。

「消費税還付を受けるために金の売買を繰り返している」なんて話したら間違いなくこの規定の適用を受けることになるでしょう。

ただし、消費税の還付に限っていえば、この規定は適用になりません。

それは、この「同族会社の行為計算否認規定」は、法人税法や所得税法には規定があるのですが、消費税法には規定がないからなのです。







◆(4)税務署側による消費税を認めない事例

税務通信には、「取得した建物に係る課税仕入れの計上時期について,納税者が申告した「契約の効力発生」の日ではなく「引渡し」があった日であるとして,計上する課税期間のズレを指摘し還付を認めないケースもあるようだ。」という記事もありました。

つまり、家賃が発生したときがマンションの課税仕入発生日という解釈です。

「同族会社の行為計算否認規定」を適用できないため、このような解釈を持ち出してきているのでしょう。

このような解釈が成立すれば、マンション取得課税年度に家賃収入といった非課税売上が発生し、消費税還付額は大幅に縮小することになります。

実際に、国税不服審判所の裁決例として、消費税の還付を受けるためだけの目的で,形式的に契約基準を適用することは認められないと指摘し、引渡しの日を課税仕入れの計上時期と判断して還付を認めなかった事例が(29年3月15日裁決など複数あります。)




(出典:税務通信)

金取引を利用した消費税還付スキームについて思うこと

確かに、現在の消費税法の規定では、法律上金取引を利用した消費税還付スキームには問題がありません。

納税者からこのスキームを利用して消費税還付のサポートを依頼したい、とお願いされれば、やることになるでしょう。

しかし、このような法律の隙間をついたもので、本来の消費税のしくみから外れたものはするべきではないでしょう。

私は、自ら進んでこのスキームを宣伝することはしたくありません。

まして、大したノウハウも必要がなく、成功率が高いこのスキームに高額な成功報酬を税理士が請求するのもどうかとも思います。


このようなもやもやを解決するには、早くこの金取引による消費税還付スキームを防止する法的対策をしてもらうしかないでしょう。

消費税率アップよりも、先にこのような倫理的に問題のあるスキームを封ずることの方が先なのではないでしょうか。


【投稿者:税理士 米津晋次

1 2 3 4 5 6 21
名古屋のよねづ税理士事務所ロゴ

よねづ税理士事務所(正式名:米津晋次税理士事務所)登録番号103724 名古屋税理士会熱田支部所属
〒458-0824 名古屋市緑区鳴海町字有松裏200ウィンハート有松3B TEL:052-621-6663