《コラム》土地の生前贈与では贈与税だけでなく登記費用も考慮に!


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こんにちは。名古屋市緑区の税理士 米津晋次です。

早いもので、今年もあと45日ほどになりました。

年末までにチェックするべきことの一つに、生前贈与を今年もしたかどうか、ということがあります。

生前贈与は、相続税対策の王道ですからね。

(※このコラムは、平成27年11月16日現在の税制にもとづいています。)

贈与税の基礎控除を有効活用

贈与のやり方で贈与税がどれだけ違ってくるか計算をしてみましょう。

贈与税は、暦年ごとに110万円の基礎控除があります。

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つまり、1月1日から12月31日までの贈与額合計が110万円以内なら、贈与税がかからないということです。

また、贈与額が110万円を超えた場合にも、この基礎控除により贈与税が少なくなります。

多額の贈与を行う場合には、この年ごとに受けられる基礎控除の適用を毎年受けると贈与税がかなり少なくなります。

贈与を一年で行う場合と年を分けて贈与を行う場合の贈与税の違い

たとえば、2000万円を1年で贈与した場合の贈与税はいくらになるかというと

  ・課税対象額:2000万円-基礎控除110万円=1890万円
  ・贈与税額 :1890万円✕45%-265万円=585.5万円

になります。高いですよね。

<贈与税の速算表>(祖父母や父母などから20歳以上の子・孫などへの贈与の場合)
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これを1000万円ずつ2年に分けて贈与した場合の贈与税は

  ・課税対象額:1000万円-基礎控除110万円=890万円
  ・贈与税額 :890万円✕30%-90万円=177万円(1年)
  ・贈与税額合計:177万円✕2年=354万円

と1年の贈与を2年に分けるだけで贈与税額が231.5万円(585.5万円-354万円)も安くなります。

もう少し計算してみましょう。
2000万円の贈与を400万円ずつ5年に分けて行うに贈与税がいくらになるかというと

  ・課税対象額 :400万円-基礎控除110万円=290万円(1年あたり)
  ・贈与税額  :290万円✕15%-10万円=33.5万円(1年)
  ・贈与税額合計:33.5万円✕5年=167.5万円
と、1年で贈与するより418万円(585.5万円-167.5万円)も贈与税が少なくなります。

計算を続けましょう。

2000万円の贈与を200万円ずつ10年かけて行うと、その場合の贈与税は

  ・課税対象額 :200万円-基礎控除110万円=90万円(1年あたり)
  ・贈与税額  :90万円✕10%=9万円(1年)
  ・贈与税額合計:9万円✕10年=90万円

とますます贈与税額が大幅に減ることになります。

さらに2000万円の贈与を100万円ずつ20年かけて行うとすると、

  ・課税対象額 :100万円-基礎控除110万円<0円(1年あたり)
  ・贈与税額  :0円(1年)
  ・贈与税額合計:0円✕20年=0円

となって、なんと贈与税は全くかからないことになります。

1年で贈与した場合の贈与税の差の585.5万円(585.5万円-0円)は、とても大きな差ですね。

贈与税の税率は、税金の中でもかなり高く、贈与額が多いほど税率が高くなりますので、

贈与額が多ければ多いほど、この差は拡大します。

このように、110万円の基礎控除の適用を多く受ければ受けるほど、贈与税総額は大幅に減らせることができます。

そこで、生前贈与を複数年に渡って行うことが多いのです。

特に複数年にわたって生前贈与を行っている場合には、このあたりで今年の贈与を実行したかどうかをチェックしてください。

数年ならしっかり覚えているでしょうが、回数が多いと今年もすでに贈与したと思い込んでいることもありますので。

こんなことも考えられます。

2年に分けて贈与すると決めた場合には、この12月と来年1月というように2ヶ月連続で贈与すれば、それで2年分の贈与の手続きは済んでしまいます。(贈与税の申告を除く)

不動産の生前贈与の場合は登記費用に注意

このように、贈与は年を分ければ分けるほど贈与税が少なくなります。

贈与するものが現預金ならこれでいいのですが、

贈与するものが不動産の場合には、贈与税だけでなく登記費用にも考慮する必要があります。

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なぜなら、不動産の場合は所有者が法務局に登記されており、登記の名義を変えたり持ち分を変えないと、贈与したと認められない可能性が高いからです。

そしてこの登記費用は、少額の贈与の場合には贈与税よりもむしろ高くつくのです。

贈与の場合の登記費用はいくらぐらいかかるのか

登記費用には、法務局に支払う登録免許税と司法書士さんの報酬があります。

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贈与の場合の登録免許税は、およそ

  固定資産税評価額✕20/1000

となっています。

ちなみに、相続税評価額はおおよそ時価の80%、固定資産税評価額は時価のおおよそ70%ですので
贈与額と登記費用はおよそ次のようになります。
(※登録免許税は条件により異なることがありますし、司法書士報酬は司法書士により異なります。)

例)相続税評価額2000万円の土地を20年に分けて贈与する場合

 登録免許税 :100万円÷80%✕70%✕20/1000=1.75万円
 司法書士報酬:4万円程度
 登記費用計 :約6万円(1年)

 贈与税は、上で計算したように0円ですが、贈与費用総額は、約120万円((6万円+0円)✕20年)もかかることになります。

 贈与のコストだけを考えれば、贈与費用がほとんどかからない現預金などを贈与する方がいいという考え方もできます。

 一方、不動産は、贈与の際の評価額が実際よりも低く計算される有利な点もありますし、

 値上がりが見込まれるなら、値上がり前の評価額で贈与できる点もメリットです。

 さらに賃貸していれば、その不動産だけでなく、そこから発生する賃貸収入も移転することができるといったこともあります。

 このように、不動産の生前贈与を検討する場合には、贈与税だけでなく登記費用もかかる点や、不動産を贈与するメリットも考慮して判断するようにしましょう。

(※このコラムは、平成27年11月16日現在の税制にもとづいています。)



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