《コラム》個人でゴルフ会員権を売却したとき(税制改正)

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こんにちは。税理士の米津晋次です。(名古屋税理士会熱田支部所属)

平成25年12月24日に12日に公表された税制改正大綱が閣議決定されました。

現在の与党のシェアからみれば、これでこの税制改正大綱どおりの税制改正になるのはほぼ確実となりました。

自動車取得税の引き下げや、軽自動車税の増額、大企業の交際費の一部経費化、サラリーマンの給与所得控除の段階的に縮小などの項目は多く報道されていましたが、あまり報道されていないものに、個人のゴルフ会員権の譲渡についての改正があります。

 「譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を摘要することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外(ゴルフ会員権等)を加える。

(注)上記の改正は、平成26年4月1以後に行う資産の譲渡等について摘要する。」



というものです。

 

これまでゴルフ会員権の売却価格から、取得費や売却手数料などを差し引いて損失が出た場合には、確定申告をすることによって事業所得や給与所得など他の所得と損益通算し、所得税・住民税を減額することができました。

例えば、給与所得が500万円のサラリーマンの場合。ゴルフ会員権の売却損が200万円発生すれば、課税所得金額は、500万円-200万円=300万円になって、所得税・住民税がおよそ47万円安くなりました。(所得控除100万円として)

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しかし、上記の改正の通り平成26年4月1以後に売却をした場合には、損失が生じたとしても他の所得と通算して所得税等を減額することはできなくなります。

財務省は以前からゴルフ会員権やリゾート会員権も生活に必要ないぜいたく品だとして、対象から外すよう要望してきましたが、影響を受ける業界団体などの反発もあって見送られてきた経緯がありました。

やっと実現されるわけです。

今回の同じように損益通算を認めなくした改正が平成16年に土地、建物等の売却損についてもありました。記憶されている方もみえるのではないでしょうか。

ゴルフ会員権はバブル期など価格の高い時期に購入され、現在売却すると多額の損失が生じるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そのため、ゴルフ会員権の売却損を他の所得と損益通算できるかできないかで上記の例以上に税金が大幅にかわってくることもあるはずです。

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現在相場が下がっているゴルフ会員権の売却をお考えの方がいらっしゃいましたら、平成26年3月31日までに売却を行うことをご検討されてはいかがでしょうか。

 

上記の改正は、ゴルフ場会員券に限らず、リゾート会員権にも適用になります。

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なお、会社所有のゴルフ場会員権の場合、税制改正に関係なく売却損が発生すれば、利益の圧縮になります。

最後にゴルフ会員券の売却についての注意点をご紹介します。

(1)預託金返還請求を行った場合の取扱い

上記の損益通算の対象となるのは、「優先的施設利用権」と「預託金返還請求権」を合わせ持ったゴルフ会員権に限ります。

「優先的施設利用権」とは、ゴルフ場を一般の利用者よりも優先的に利用できる権利のことです。

また、「預託金返還請求権」とは、ゴルフ場経営会社に預託した金銭を返してもらう権利のことです。

預託金の返還請求を行って退会を申し出た場合には、ゴルフ場の優先的施設利用権を自ら消滅させたものと考えられます。

この場合には、預託金返還請求権という権利に基づき債権を回収したことに過ぎず、この対象にはなりません。

 

(2)ゴルフ場経営会社が破綻等した場合の取扱い

バブル崩壊以降ゴルフ場の運営が厳しく、ゴルフ場経営会社が民事再生法や破産法等の適用を申請して破たんするということが多く発生しています。

ゴルフ場経営会社が民事再生法等の適用を受けた場合には、ゴルフ会員権はその内容に基づき主に次のように取り扱われます。

 

■ゴルフ場経営会社が破産した場合

ゴルフ会員権は破産債権に該当し、金銭債権として取り扱われます。

したがって破産宣告後のゴルフ会員権の譲渡は、金銭債権の譲渡に該当し譲渡損失にはならず損益通算もできません。

 

■ゴルフ会員権が分割された場合

分割されただけではゴルフ会員権の譲渡には該当しませんので、損益通算の対象にもなりません。

 

■預託金の一部が切り捨てられた場合

預託金の一部が切り捨てられたとしても、ゴルフ会員権としての性質には変更がないため取得価額の減額などの処理は行いません。

切り捨てられた預託金相当額の損失は、その後ゴルフ会員権を譲渡した時において譲渡損失として認識されることになります。

 

■新しいゴルフ場経営会社のゴルフ会員権と交換した場合

民事再生法等の再生計画に基づきゴルフ会員権を新経営会社に譲渡し、代わりに各会員は新経営会社から株主会員制(又は預託金制)ゴルフ会員権を新たに取得することがあります。

この場合、交換前ゴルフ会員権が優先的施設利用権を有していれば、譲渡所得として取り扱われると考えられ、改正前であれば損益通算の対象になるでしょう。

 


【投稿者:税理士 米津晋次