《コラム》配偶者控除廃止?外国の課税単位について

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こんにちは。名古屋市緑区の税理士 米津晋次です。

【配偶者控除の廃止検討】

政府の税制調査会が、専業主婦世帯の配偶者控除の廃止・縮小の検討を始めたことが注目されています。

現行税制では、一般的に妻の給与年収が103万円を超えると、
夫に配偶者控除(所得税で38万円、住民税で33万円)が適用されなくなって
所得税・住民税の負担が増えるという影響が出ます。

また、妻自身にも所得税・住民税がかかる場合があります。

そのように税負担が増えないように、
妻が年収を103万円以下に抑える傾向になり、
そのことが女性就労を阻害している、
というのが配偶者控除廃止検討の理由です。
安倍首相が「女性の社会進出を促す成長戦略の一環」として見直しを指示したのです。
誰もが感じているように、これは形式的な目的であって、実際は税収の増加が配偶者控除廃止の検討理由なのは明らかです。
あまり報道されていませんが、同時に課税単位を「個人」から「世帯」にすることを検討するという、重大な案も提示されました。

甘利明経済再生担当相が3月7日の会見で、
「所得税を世帯単位で課税する方式を広範な分析をしていく」
と述べています。
日本の税制だけを見ていると、個人単位で課税することが当たり前のようですが、
外国では個人単位に課税されているとは限りません。
外国の課税単位がどうなっているか簡単にご紹介しましょう。

【夫婦単位課税】

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アメリカやドイツでは、夫婦単位での課税を選択することができます。
この夫婦単位課税のメリットは、夫婦ごとの公平性の向上です。
日本のように「個人単位課税」だと、年収が例えば、

(ア)夫:700万円、妻:300万円、合計:1000万円の共働き夫婦

(イ)夫:1000万円、妻:0円(専業主婦)、合計:1000万円の夫婦

では、夫婦合計の年収1000万円は同じでも、所得税・住民税は同じではありません。
それは、所得税は累進税率といって、所得の多いほど税率が上がっていくからです。

できるだけ所得を分散した方が低い税率が適用されることにからです。
上記の例では、共働きの夫婦(ア)の方が専業主婦の夫婦(イ)よりも夫婦の合計所得税が低くなります。
このように同じ年収の夫婦なのに税負担が異なるのは不公平だという考え方もできます。
課税単位を「夫婦」にすれば、上の(ア)も(イ)も夫婦合計年収は同額ですから、税金も同じになるわけです。

【家族単位】

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課税単位を「夫婦」よりももっと広い「家族」とする国もあります。

フランスです。

フランスでは、家族が増えるほど税金が安くなる構造になっています。

少子化対策の一貫のようです。

 

ちなみに、日本も戦前は「家族単位」で所得税を計算していました。

課税単位
(財務省HPより)

【どの課税単位がいいのか】

「世帯間の公平性」の観点からすれば、「夫婦単位課税」「家族単位課税」が公正性が高いといえます。

しかし、「個人間の公平性」の観点からすれば、「夫婦単位課税」「家族単位課税」の公平性は低くなります。

また、「世帯単位課税」等では、結婚や配偶者が働くことに対する選択に対して中立的でないともいえます。
一方、「個人間の公平性」の観点からすれば、「個人単位課税」の公平性は高くなります。

しかし、「世帯間の公平性」の観点からすれば、「個人単位課税」の場合の公平性は低くなるのです。

また、「個人単位課税」は、結婚や配偶者が働くことに対する選択に対して中立的であるともいえます。
結局、一概にどの制度がいいとは言えないのです。

各国の民法上の夫婦の財産制度や、歴史的経緯など
様々な要素の影響を考慮して、
各国が政策判断で課税単位を決めているのが現状です。
日本においても、戦後は家制度が廃止されたこと等を背景として、
「家族単位課税」から「個人単位課税」に移行したのです。

 

税制を改正するという情報が入ると、多くの人は、

・自分にとって税金が安くなるなら賛成!
・税金が高くなるなら反対

という単純な意見になりがちです。すぐ生活に関わるから当然です。
しかし、ときには外国の税制についても知ったうえで、日本の税制のあり方を考えてみるのもいいのではないでしょうか。