平成22年度税制改正大綱に対する社説-毎日新聞

平成22年度税制改正大綱に対する社説-毎日新聞


社説:政権初の税・予算 決定過程に透明さ欠く-平成22年12月23日朝刊


 「子ども手当」など来年度予算に盛り込む主要政策について鳩山政権の方針が決まり、税制改正大綱も固まったことで、予算編成は大きな山を越えた。政府予算案が決まらないまま、ずるずる越年するという最悪の事態は避けられる見通しだ。

 意見調整が難航した項目の中で最大の焦点の一つになっていたのが、子ども手当への所得制限だった。厳しい財源不足の中、「金持ち世帯まで手当を出すのはおかしい」との声もあり、民主党が受給に所得制限を付けるよう求めたが、最後は鳩山由紀夫首相が、「制限なし」を決めた。

 ◇「子ども手当」理念守る

 親の所得に関係なく、すべての子どもを社会全体で育てる、という民主党マニフェスト(政権公約)の根幹理念を党自ら崩そうとした過程は問題だったが、最終的に政権が守った。正しい決断として評価したい。

 これに対し、ガソリンの税率維持を決めたことは、「公約違反」の批判を免れないだろう。鳩山首相は陳謝したが、決定過程や根拠などについて、国民へのていねいな説明が不可欠だ。

 しかしながら、マニフェストに、もともと矛盾があったのも事実だ。「地球温暖化対策を強力に推進する」とうたいながら、もう一方では温室効果ガスの排出増加を促しかねないガソリンの暫定税率廃止を盛り込んでいた。

 このため私たちは、来年度からの暫定税率廃止を見送ったうえで、環境税については徹底した議論と入念な制度設計を行うよう提案してきた。今回の政府決定は、それにおおむね沿った内容といえよう。鳩山政権には、これを単なる問題の先送りとせず、環境税について国民全体を巻き込んだ議論を主導するよう期待したい。

 暫定税率など個々の問題とは別に、政権が果たせなかった大きな約束がある。自民党長期政権を経て築き上げられた既得権益の実態を白日の下にさらし、それにメスを入れ、国民の目に見える意思決定の仕組みを新たに作り上げる、というものだ。

 鳩山政権はそのためにいくつかの舞台装置をこしらえた。政府税制調査会はその代表だ。自民党政権時代の不透明な「党主導」の税制改正から脱却しようと党税調を廃止し、意思決定を政府税調に一本化する画期的な構想だ。新生税調のメンバーは、かつてのような有識者ではなくすべて政治家である。大臣、副大臣、政務官ら政府の幹部で構成し、事業仕分けと同様に、議論の過程が国民に見えるよう、全体会合の模様はインターネットで公開した。

 しかし、残念な結果に終わった。メンバーはそれぞれ代表する省の主張を訴え、意見がしばしば対立、調整は非公開の場に委ねられた。

 税調の発足当初掲げていた高い志も次第に色あせていった。租税特別措置(租特)がその代表例である。企業の研究開発促進や住宅取得の支援など、政策目的のため課税の例外を設けているのが租特だ。大半は減税や非課税措置で、一度導入されると常態化し、税収減は国税だけで7・4兆円にも達していた。

 税調は「聖域を設けず見直す」とスタートを切ったが、各省からの要望に押され、「廃止」や「大幅見直し」が次々と「継続」に覆されていった。

 ◇税調、主役になれず

 「事業仕分け」は税金の無駄遣いを省くことで財源の捻出(ねんしゅつ)を狙ったが、効果が疑問視される租特を廃止し、税収増を目指したのが税調だ。4年間で1兆円の確保を目指すものの、今回の成果は差し引きで1000億円規模にとどまった。

 その結果、ガソリン税の水準維持に追い込まれたというのが実情だろう。その決定にしても、税調は独自に行うことができず、結局、民主党、特に小沢一郎幹事長の采配(さいはい)を仰いだ。小沢氏が最終局面で「暫定税率の維持」「子ども手当への所得制限」など党の要望を政府に突きつけ、存在感を印象付けたが、「真の主役」であるはずの政府税調が、難題を自ら解決できなかったところに最大の責任がある。猛省が必要だ。

 鳩山首相は、政府税調や国家戦略室が本来の役目を果たすには何を改善すべきか、また政府と与党との関係など、これを機にきちんと見直すべきである。

 政権が目指している改革はむしろこれからが本番だ。税に関するテーマだけでも、来年以降、議論を詰めて実行に移していかねばならない難題が山ほどある。今回、積み残した環境税や租特の抜本見直しはもちろん、法人税や相続税の改革がある。民主党が訴えてきた所得控除から手当への移行、そのために不可欠な納税者番号制度の導入もそうだ。さらに、消費税の税率引き上げ問題がある。難易度は今回の税制改正や予算編成の比ではない。

 暗礁に乗り上げるたびに小沢氏の采配を仰ぐ、というつもりではなかろう。鳩山首相も小沢幹事長も、今回の混乱を教訓とし、国民に納得のいく意思決定の仕組みを再構築してもらいたい。



税理士 名古屋/名古屋市のよねづ税理士事務所トップページへ戻る

◆税理士は事業発展のお手伝いをします。

税理士は、税務に付随して決算書類の作成、会計帳簿の記帳代行などを行うほか、企業からのご相談に応じ、事業の発展のお手伝いをします。

私たちは全力でお客様のお力になります。いつも他の事務所にない暖かい雰囲気でお迎えいたします。

TEL:052-621-6663

平日9:00 ~ 18:00

平日の早朝、夜10 時まで、休日も対応いたします。(要事前予約)

FAX:052-621-6669

メールでのお問合わせ


Access

〒458-0924
愛知県名古屋市緑区有松1021
第二福岡ビル1階B
(有松駅すぐ名古屋方面線路沿い南側)


大きな地図で見る