政府税調平成19年度税制改正答申1
政府税調平成19年度税制改正答申1-税理士 名古屋/名古屋市の税理士
Ⅰ税制調査会の使命-総合的な税制改革に向けての視点と審議の進め方
(1)当調査会は、本年11月に安倍内閣総理大臣から以下の諮問を受けた。
「歳出・歳入の一体改革を進めていくにあたっては、「成長なくして財政再建なし」の理念の下、イノベーションの力とオープンな姿勢により日本経済に新たな活力を取り入れ、経済成長を維持していくことが重要である。こうした取組みの下、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出削減を徹底する必要がある。
税制については、我が国の21世紀における社会経済構造の変化に対応して、各税目が果たすべき役割を見据えた税体系全体のあり方について検討を行い、中長期的視点からの総合的な税制改革を推進していくことが求められている。
こうした税制改革の中では、喫緊の課題として、我が国経済の国際競争力を強化し、その活性化に資するとともに、歳出削減を徹底して実施した上で、それでも対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対する安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければならない。また、子育て支援策等の充実、地方分権の推進といった政策目的にも応えなければならない。
こうした税制改革の検討にあたっては、税制が経済や財政にどのように関わるかというマクロ的な視点、税制が企業や家計にどのように関わるかというミクロ的な視点に立った分析が必要である。
以上の基本的な考え方の下、あるべき税制のあり方について審議を求める。 」
(2)当調査会は、この諮問を受けて、国民各層が豊かになる税制改革を目指し、次のような基本的な視点に立って議論を進めていく。
経済成長は財政健全化の牽引力になるという認識の下、少子高齢化、グローバル化がさらに進む21世紀半ばの我が国経済社会を見据えつつ、「成長力強化」、「財政健全化」、「健全で安心できる社会の実現」という相互に関連する目標の実現に向けた改革が、一体的に取り組まれるべきである。また、改革にあたっては、真の社会的弱者への配慮や格差を固定させない取組も必要である。
一方、極めて厳しい財政状況の中で、将来世代への負担の先送りを行わないよう、財政健全化にも正面から取り組まなければならない。こうした取組は、資金の流れを官から民へとシフトさせ、経済活性化につながるものである。このため、政府の掲げる歳出・歳入一体改革をしっかりと実行していかなければならない。自然増収がある場合にも財政規律を堅持する必要がある。平成19年度予算においては、今後5年間の歳出改革の初年度として、国・地方ともに聖域を設けることなく徹底した歳出削減を行うべきである。
税制については、中長期的な視点からの総合的な税制改革に向け、社会経済構造の変化に対応した各税目の在り方を検討していく。その中で、経済活性化、社会保障等の安定的な財源の確保、子育て支援策等の充実、地方分権の推進といった政策課題にも応えていかなければならない。
(3)当調査会は、まず経済活性化と税制について議論を行った。
経済活性化に向けた税制の検討にあたっては、財政健全化との両立という視点や公平・中立・簡素の租税原則を踏まえ、国際的な競争条件を揃え、イノベーションを加速し、オープンな姿勢をとることが重要である。
このような観点からの今後の検討課題の一つとして、法人実効税率引下げの問題が提起された。企業部門の活性化はその付加価値の分配を通じて家計部門に波及し、プラスの効果をもたらす。法人実効税率の問題の検討にあたっては、課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担の国際比較、さらに企業部門の活性化が雇用や個人の所得環境に及ぼす影響等についての調査・分析を深める。また、税だけでなく社会保険料を含む企業の種々の負担の国際比較を行う。
イノベーションの加速という点からは、研究開発税制をはじめとする政策税制の評価を行うとともに、我が国の将来の基幹産業を生み育てるため、単なるマネーゲームにとどまらないリスクマネーの有効な活用方策の検討が課題である。また、企業の成長のための多様な資金調達の手段に税制がどのように影響を及ぼすのか、今後しっかりと検討していく。
オープンな姿勢という点からは、海外との経済交流を促進することが重要であり、投資や技術の受け入れ国における課税を相互に軽減する租税条約ネットワークのさらなる拡充等に取り組むべきである。
(4)今後の審議にあたっては、各委員の専門分野の研究蓄積も生かし、ミクロ・マクロの両面から、税制と経済、財政、企業、家計との関わりを調査・分析するとともに、個別税目だけではなく、税制全体、さらには社会保障制度をはじめとする諸制度とも関係付けた有機的な議論を行うことが重要である。そうした調査・分析、議論を基礎に、総合的な税制改革のグランドデザインを国民に分かりやすく示していく。また、政策論議の透明性を高め、国民に対する説明責任を果たす観点から、広報・広聴の果たす役割を重視し、情報発信の強化と合わせて広く国民各層・各分野の声を聴いていきたい。




