2007年9月19日 政府税調、税制改革低所得者に配慮
2007年9月19日 政府税調、税制改革低所得者に配慮-税理士 名古屋/名古屋市の税理士事務所
【2007/09/19, 日本経済新聞 朝刊より】
政府税制調査会(首相の諮問機関)は十八日の会合で、個人所得課税の見直しに着手した。
香西泰会長は会合後の記者会見で、低所得者を対象に所得税の減額と給付金の支給を組み合わせる「給付付き税額控除」の導入を検討する考えを表明した。
参院選後の政策課題となった格差問題にも配慮し、社会保障制度と連動した所得税制を構築する方針を示した。
給付付き税額控除の導入には民主党が積極的。政府税調が本格検討に乗り出すことで、十一月をメドに答申をとりまとめる税制改革議論の焦点に浮上してきた。
給付付き税額控除は課税対象にならない低所得者には一定額を給付する。収入が増えて所得税を払うことが必要になっても、一定の枠内なら税額そのものを差し引く税額控除と給付金を組み合わせて負担を軽減する。米国や英国などでは主に就労や子育てを支援する目的で導入済みだ。
例えば給付付き税額控除の枠を十万円とすると、納税額がゼロの生活者には十万円を支給。五万円を納税する人には五万円を税額控除して納税額をゼロにし、さらに五万円を給付。二十万円を納税する人には十万円分の税額を差し引く。
日本の所得税制でも、納税者の負担能力や生活環境に応じた税軽減策があるが、基礎控除(年三十八万円)や扶養控除(扶養親族一人あたり同三十八万―六十三万円)など課税所得から一定額を差し引く所得控除制度が中心。所得が低く税額が少ない納税者の場合、控除の恩恵が少ないため、税そのものを差し引く税額控除に比べ低所得者には不利な仕組みとされる。
生活保護を受けていた人が働き始めて収入を得ても、保護費のカットや税、社会保障負担などで手取りが減れば勤労意欲を失う恐れがある。
給付付き税額控除は収入が増えても段階的に給付と税額控除を続けることで手取りの減少をなくし、低所得者の勤労意欲を高めることができる。子供の数に応じて優遇を高めれば少子化対策につなげることも可能だ。
導入には生活保護や児童手当など現行の社会保障給付との擦り合わせが必要で、政府全体での議論が求められる。
政府税調は今後、社会保障給付と基礎控除や扶養控除などの人的控除のあり方を整理。税と社会保障を連動させた仕組みが実現できるか検討する。
同日の会合では、所得控除の体系見直しに向けた論点を整理した。
働き方の多様化に合わせて配偶者控除の縮小を検討するほか、世代間の公平性に配慮して公的年金控除や退職所得控除の見直しにも着手する。
今後の議論次第では、社会保障費の増大に合わせ、高齢者にも一定の負担増を求める可能性がある。
今秋からの税制改革議論では消費税率の引き上げが主要論点だったが、参院選の与党大敗で先送りが濃厚となった。
所得税の見直しも論点だが、与党は増税につながる所得控除の縮小には消極的。
財務省は控除縮小を後押しするが、給付付き税額控除は「米国でも不正受給者が全体の三割に達するとみられ問題が多い」(主税局)と慎重だ。給付を公平にするためには、生活者の所得を正確に把握する必要があり、早期に実現できるかは不透明だ。
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