2007年9月12日 政府税調、消費増税含め議論、来年度改正始動

2007年9月12日 政府税調、消費増税含め議論、来年度改正始動-税理士 名古屋/名古屋市の税理士事務所


(2007/09/12, 日本経済新聞 朝刊より)

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は十一日、約一カ月ぶりに会合を再開した。
 今後の論点として「活力ある経済に導く税制」「消費税を含む税体系のあり方」など五項目を提示、消費税も含め改革の全体像を議論する考えを示した。

 来年度改正では、金融一体課税などを検討する方向だ。参院の与野党逆転で税制改正でも民主党の影響力が強まりそうだが、政府税調は政治情勢にかかわらず「あるべき税制」を議論する方針を確認した。

 同日の会合では、三月から進めていた「調査分析部会」の議論をもとに、部会長の田近栄治一橋大教授が「今後の審議に向けて」とする五項目の論点案を提示、了承を得た。今後は消費税や所得税など個別税目ごとに議論を深め、十一月をメドに答申をまとめる。


 「経済の活力」で焦点になるのは、預貯金利子や株式譲渡益などを差し引きして課税する「金融一体課税」の導入。個人が株式売買で損失を出しても、預貯金の利子所得から損失分を差し引き、納税額を圧縮する損益通算を認め、投資リスクを軽減できるようにする。

 損益通算を認める代わりに、二〇〇三年から株式譲渡益と配当に本来の半分の軽減税率(一〇%)を適用してきた「証券優遇税制」は〇八年度末までに打ち切る方向。政府税調は、昨年も廃止を打ち出したが、与党の反発で優遇期限を一年延長した。
 香西泰会長は同日の記者会見で「昨年、非常に熱心に議論したうえで結論に達している」と述べ、今年も廃止を打ち出す方針を示唆した。


 「安心できる社会」への具体策として、経済格差の固定化を防ぐための相続課税の強化などをあげた。働き方の多様化に合わせ、配偶者控除や退職所得控除など所得控除の縮小・簡素化を検討する。
 所得控除見直しは民主党も重点政策に掲げており、与野党の議論で主要争点となる可能性がある。


 政府は〇九年度に基礎年金の国庫負担を上げる方針で、新たに二・五兆円の財源が必要になる。香西会長は会合で「政治状況は読みにくいが、安定財源の確保など中期的な議論もやっておかなくてはならない」と述べ、消費税率上げを検討課題とする方針を示した。
 ただ、参院第一党の民主党は税率据え置きを主張。安倍晋三首相も十日の所信表明演説で、これまで「〇七年度をメドに」としてきた税率上げ決定時期への言及を避けた。政府税調が消費税増税を打ち出しても早期実現は困難な情勢だ。


 会合では一部委員から「こうした政治情勢で抜本改革ができるのか」と税制議論の失速を懸念する発言もあった。参院の与野党逆転で、政府税調内にはいらだちや無力感も生まれつつある。
 香西会長も会見で消費税について「来年とか、再来年とか、必ず上げましょうという段階には至っていない」と指摘した。

 政府税調は毎年末に翌年度税制改正の土台となる答申をまとめるが、「答申が政策に結びつかなければ、政府税調の機能の空洞化につながりかねない」(財務省幹部)と懸念する声もある。



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