与党税制改正大綱に対する社説-朝日新聞(12月17日朝刊)-名古屋 税理士/名古屋市のよねづ税理士事務所

与党税制改正大綱に対する社説-朝日新聞(12月17日朝刊)

税制大綱 改革の道筋が見えない

 「まだ、なんとかなるさ」。そんな本音が透けて見えるようだ。与党がまとめた06年度の税制改正大綱は、抜本的な改革論議をそっちのけにして、目先の問題に終始した。

 それでも負担増の規模は2兆円に達する。財政が抜き差しならぬところにあることを物語っている。

 与党の姿勢を象徴するのが、たばこ増税だ。引き上げ幅は1本1円で、増税分は児童手当を拡充する財源に充てる。

 日本のたばこの値段は英米よりもはるかに安い。周囲の人の健康も損なうこともあり、私たちは「ひと箱千円だっていい」とすら主張した。少子化対策として児童手当の拡充は必要だとも考える。

 だからといって、今度のようなやり方は支持できない。

 税制は経済や社会全体を踏まえて設計されるべきであり、公平、公正であるのが基本だからだ。取りやすい所から取るという安易な考えでは、この先に控える大がかりな税制の見直しなど望めない。

 児童手当の財源についても、まずは高齢者に向けられていた分を回すなど、社会保障費の枠の中でのやりくりを考えるべきではないか。

 政府税調は6月、個人所得税の負担を軽くしてきた給与所得控除の縮小・廃止を盛り込んだ報告書をまとめた。

 それが東京都議選で民主党などの批判にさらされたことから、総選挙で自民党は「サラリーマン増税の考えは採らない」と火消しに追われた。

 その一方で、06年度予算での新規国債発行額は30兆円に抑え込む、という目標を小泉首相は掲げている。これを達成するには、新たな増収策が欠かせない。

 たばこ増税は、そうしたなかでの妥協の産物というほかない。

 一方、所得税と個人住民税を対象とした定率減税は打ち切られる。99年に導入された景気対策の減税策に終止符を打つものだが、これ自体は昨年のうちに決まっていた路線である。

 06年の半減に続き、今回は残った分を07年に廃止することを打ち出した。国民の負担は、両年の措置で計3・3兆円増える計算だ。

 あわせて、大綱は「経済状況に弾力的に対応する」として、景気が失速した場合には減税を続ける余地も残した。消費などへの影響は小さくない。全廃に踏み切る際には経済の現況や先行きを慎重に見極めるべきだろう。

 経済財政諮問会議は、歳出と歳入の一体改革の具体策づくりに乗り出す。それなのに抜本的な改革論議は、政府・与党では事実上封印されたままだ。

 谷垣財務相や与謝野経済財政担当相は税制論議に踏み込もうとしたが、竹中総務相らが異を唱え、小泉首相の支持も得られなかった。

 しかし、小泉政権での税制改正はこれが最後になるはずだ。次の首相を目指す人々は、明確な構想を示さなければならない。

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