与党税制改正大綱に対する社説-中国新聞(12月16日朝刊)-名古屋 税理士/名古屋市のよねづ税理士事務所
与党税制改正大綱に対する社説-中国新聞(12月16日朝刊)
増税路線が一段と鮮明になった。きのう決まった二〇〇六年度の与党税制改正大綱である。定率減税の全廃などで総額二兆円超の増税は、一般納税者にとって多大な負担となる。〇七年度以降の消費税増税にもふれ、政府税制調査会より一歩踏み込んだ。その前に歳出削減の徹底が急務である。増税が景気に影響しないのか、その判断基準も明確にしてほしい。
税制大綱は具体的な税率や課税対象などの細目を示す。それだけに政府の来年度予算案と税制改正法案に大きな影響力を持つ。増税の主な柱は定率減税の〇七年全廃、たばこ増税と「第三のビール」増税など。サラリーマンなどの一般家計にとっては、ほぼ増税一色の内容である。
政府税調の答申にもあった定率減税は〇七年の全廃を明示。すでに来年一月からの半減が決まっており、残り半分も廃止される。「経済状況の改善等を踏まえ廃止する」との前提があるが、廃止は決定的だ。
確かに景気は回復傾向にある。だが、大企業中心に好調な企業業績に比べ、実感として家計まで広がっているとは言い難い。経済情勢を十分に見極め、柔軟な対応を求めたい。
「第三のビール」と「たばこ税」の増税は新たに盛り込まれた。「第三のビール」増税は、酒類間の税格差を縮小するよう政府税調がボールを投げていた。「たばこ」増税は急浮上した。児童手当拡充の財源確保のためだが、自民・公明両党の妥協の産物とも言えそうだ。
企業向け減税では本年度で期限切れとなる情報技術(IT)投資促進税制を廃止した上で「情報基盤強化税制」に衣替え。大企業向けの投資促進税制は事実上、存続される。一九九九年に定率減税とセットで導入された法人税率の引き下げは継続される。高額所得者の最高税率についても据え置かれた。
大企業などの企業収益、設備投資が順調に推移している中で、企業の特別減税を延長するのは理屈が通らない。高額所得者と低所得者の格差は広がるばかりだろう。
大綱は「危機的な財政状況の中、歳出・歳入一体改革への取り組みは不可欠」と強調する。だが、「取れるところから、しっかり取ろう」との姿勢ばかりが透けて見える。
注目すべきは、「消費税を含む税体系の抜本改革を実現させるべく取り組む」とし、税率引き上げの議論を本格化する方針を示した点だ。医療制度改革などの動向を見極め、社会保障財源の不足分を埋める本格増税の検討に入るというシナリオ。消費税は低所得者の負担が重い問題もある。十分な配慮が必要になる。
政府・与党内では消費税の引き上げをめぐり、積極派、慎重派の路線対立が厳しさを増す。公務員削減や特別会計の整理など徹底的な歳出削減に取り組むことが肝要だ。
一方で本年度の国の一般会計税収が当初見込みより、約三兆円増になる可能性も出ている。景気の回復を映し、法人税収が大幅に増加するほか消費税も増えるためという。
危機的な財政状況を前面に出すだけでなく、小さな政府像を早く国民に示すべきだ。財源不足を補う帳尻合わせでは展望は開けない。
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