政府税調答申に対する社説ー徳島新聞(11月26日朝刊)
増税への理解得られるか
国の財政悪化は深刻さを増している。だからといって、負担増を押し付けるばかりでは、国民の理解は得られない。
政府税制調査会が二十五日、二〇〇六年度税制改正答申を小泉純一郎首相に提出した。焦点となっていた所得税と個人住民税の定率減税については、〇七年度の全廃が明記されている。
定率減税は〇六年から減税幅を半分にすることが決まっている。残りの半分は所得税が〇七年一月から、個人住民税が同六月から全廃となりそうだ。年収七百万円の夫婦二人、子供二人の家庭では年八万二千円の負担増となる。
答申を受けて実質的に決定権を持つ与党税制調査会が議論を本格化させ、来月十五日に税制改正大綱が決まるが、この流れは変わらないであろう。増税路線の本格化が鮮明になったといえる。
消費税の税率引き上げについては来年六月の中期答申に先送りされたものの、答申は来年以降の消費税を含む抜本的な税制改革論議への地ならしと位置づけられている。家計に痛みを強いる増税路線に、国民は納得するのだろうか。
国の財政悪化は深刻で、増税が避けられない情勢ではある。このまま放置して財政破たんを招けば、国民に深刻なつけが回ってくる。また、世代間の不公平を生むことになる。だが、答申も指摘するように、血のにじむような行革、歳出削減が増税の前提なのはいうまでもない。
小泉首相は、来年度の予算編成を前に「国債発行三十兆円枠」を四年ぶりに復活させた。財政再建への決意であり、歳出削減は待ったなしだ。
定率減税全廃の理由は「経済状況の改善」である。確かに景気は回復基調が続いているとされている。しかし、どれほどの人が、暮らしが良くなったと感じているだろうか。
今後は、所得税の各種控除の見直し論議も再浮上する可能性がありそうだ。定率減税の全廃と合わせ、個人消費を冷え込ませることも懸念される。
大企業に勤める都会のサラリーマンの中には、企業の好業績の恩恵を享受している人も少なくない。だが、まだ明るさが見えない業種、企業も多い。
また、徳島県などの地方では、大都市圏のように景気回復を実感できないのが実態だ。業種や地域による格差は拡大する傾向が強い。
答申には企業向けの特別減税措置である「情報技術(IT)投資促進税制」の来年三月末の期限での打ち切りも盛り込まれている。一連の増税が、回復基調にある景気の腰を折ってしまうことにならないだろうか。
道路特定財源について、答申では税率を維持したまま一般財源とすることを求めている。しかし、地方を中心に「道路整備はまだまだ不十分だ」との声が強いことも忘れてはならない。
県議会では先月、道路特定財源の一般財源化による県南の高速道路整備への影響を懸念する論議が交わされた。仮に一般財源化が行われるにしても、地方の道路整備のための財源を確保する措置が検討されるべきだ。
答申が示した方向での税制改正は、大都市圏よりも体力の弱い地方に、より厳しいものとなりそうだ。財政再建は急がれるが、国民負担の増加による景気悪化や弱者切り捨てを招かないように、細心の注意と柔軟な政策運営も望まれる。
