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政府税調答申に対する社説-毎日新聞-名古屋 税理士/名古屋市のよねづ税理士事務所

政府税調答申に対する社説-毎日新聞(11月26日朝刊)


政府税調答申 歳入より歳出の改革を急げ

 政府税制調査会が2006年度税制改正案を答申した。抜本改正は次回以降と割り切って、できることに手をつけた実務的改正案である。

 力点が置かれたのは、これまでの減税措置の整理だ。第一に所得税の定率減税の完全撤廃、第二は期限の来たIT投資促進税制など企業減税の廃止である。

 振り返ってみれば、いつのまにか所得税収も、法人税収も大幅に落ち込んでしまった。ピーク時に約26兆円あった所得税収は、05年度約14兆円になっている。不況対策として実施してきた減税によって、税収があがらない構造になっている。景気回復は明らかなのだから、不況対策としての減税をやめるのは当然だろう。

 定率減税の廃止には慎重論が根強い。前年の改正で半分やめた。今回、残りの半分も廃止を決めた。これで国・地方あわせ3・3兆円の増収を図る。年収700万円の子ども2人の家庭で8万円強の負担増だから、家計にとっては相当の痛みである。

 しかし、財政再建への意思と行動を示すことが、日本の長期金利の安定に貢献している。それが景気拡大を助け、また、日本への海外投資家の信認を高めているともいえるだろう。定率減税の撤廃によって、消費に影響がないとはいえないだろうが、景気の現状からみて心配ないという税調の判断を支持したい。

 法人減税の廃止も同じことである。企業収益は非常に好調だ。過去最高の利益を更新する企業も少なくない。役割を終えた減税はすみやかにやめるべきである。

 このほか、三位一体の改革に伴う税源移譲が税の増減にならないようにする。これも当然だ。

 「第3のビール」の登場でビールの税収が減った。答申は酒類間の税率格差を是正すべきだという。消費の多様化や製造技術の変革によって、税制の中立性、公平性に問題が生じたというが、税調は企業の創意工夫を認めないというのか。見直しを行うにしても、相当の猶予期間をおくべきだ。

 道路特定財源の一般財源化をめぐって綱引きになっているが、答申は道路特定財源の一般財源化を打ち出した。正論である。この際、断行を期待する。

 問題は次回以降だ。今回答申でも、財政再建は歳出・歳入一体で考える必要がある、と強調している。その通りだろう。増税なしで財政再建できる甘い状況ではないが、「増税ありき」では国民の支持をえられず失敗する可能性が高い。歳出の徹底した切り込みと制度改革が不可欠だ。

 消費税をめぐっては、社会保障の目的税とする案も有力だ。私たちは消費税を目的税とすることには反対だ。目的税にするとむだな歳出が増えがちになる。ただ、消費税率は社会保障の水準と密接に関係してくるだろう。

 いずれにしても、社会保障を中心とする歳出改革は到底、国民の納得するものになっていない。政府は当面、歳出改革に全力をあげるべきだ。


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