政府税調答申に対する社説-読売新聞-名古屋 税理士/名古屋市のよねづ税理士事務所
政府税調答申に対する社説-読売新聞(11月26日朝刊)
なぜ消費税から逃げるのか
平時の体制の下で2007年度の抜本的税制改革に取り組もうということだろう。
政府税制調査会が来年度の税制改正に関する答申を小泉首相に提出した。所得・住民税の定率減税やIT(情報技術)投資減税を廃止し、常態に戻すよう求めている。
上場企業の連続増収増益が象徴するように、景気はここまで順調に回復している。デフレ不況から脱却するために、臨時異例の措置として導入した減税の廃止は、妥当と言えよう。
ただ、実際に税負担が増えるのは、遅いものだと07年の6月になる。それまでに景気が急変する可能性は、ゼロではない。経済情勢が暗転した時には、引き返す柔軟性も忘れてはならない。
焦点の定率減税は、1999年に導入され、所得税額の20%、住民税額の15%を減税してきた。
今年の通常国会で半減することが決まっており、サラリーマンの場合、所得税は来年1月、住民税は6月から増税される。答申の通りになれば、07年には残る半分の増税が実施され、年間の税負担は最大で今より29万円増える。
段階的に増え続ける税と社会保険料が個人消費を冷え込ませないか、政府はその動向に万全の注意を払うべきだ。
国税の所得税から地方税の住民税に税源を移譲するため、所得税の最低税率は10%から5%に引き下げられ、最高税率は37%から40%に引き上げられる。住民税は3段階から10%税率に一本化され、現在は所得税を納めていない低所得層向けに税額控除制度を設ける。
これらは、税源移譲に際して、個々の納税者の税負担が増減しないようにするための技術的な操作だ。財務、総務両省は、所得・住民税の合計が税収中立になるよう、制度を仕組まねばならない。
政府税調は、定率減税の全廃とともに今年度で期限の切れる特別減税制度の廃止も提言した。対象は設備投資の拡大を狙った研究開発税制の上乗せ分とIT減税、土地取引の活性化を目指した登録免許税と不動産取引税の軽減措置だ。
一挙に全廃することで、設備投資などが腰折れしないか、与党には難しい政治的判断が求められる。
今回の答申は、全5ページと短いのが特徴だ。昨年は「国民的な議論を進めていくべきであろう」と強調した消費税に、全く言及していないことも奇異に映る。
消費税率の早期引き上げを唱えた谷垣財務相が首相に批判され、政府税調も一部閣僚に「抵抗勢力」のレッテルをはられた。それで消費税から逃げたのだとしたら、税調の存在意義が問われよう。
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