《コラム》マイナンバー制度を利用して医療費控除を簡素化へ


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こんにちは。税理士の米津晋次です。

今年の10月から国民全員に通知が始まる12桁のマイナンバー。

マイナンバー制度導入の目的のひとつとして、利便性があります。

6月19日の日本経済新聞朝刊の記事によると、
政府はマイナンバー制度の利便性を高めるため、「医療費控除」の手続きを簡素化する計画のようです。

医療費控除とは

「医療費控除」とは、簡単に説明すれば、1年間の家族の医療費合計額が原則10万円を超えた場合、
その超えた金額を所得から控除して所得税、住民税を安くする制度です。

この「医療費控除」は年末調整ではできず、適用を受けるためには確定申告が必要になります。
毎年約700万人が使っているそうです。

ただ、この医療費控除ですが、
原則医療費の領収書とその一覧表を確定申告書に添付して税務署に提出しなくてはなりません。

・医療費の領収書の保存を忘れた
とか、
・医療費領収書の合計額の計算や一覧表の作成が面倒
ということで、
本来医療費控除を受けることができるのに適用を受けていない人も多くいるようです。

医療費









税理士事務所にとっても頭が痛い医療費控除

じつは、確定申告の依頼を受ける税理士事務所側にとっても、
医療費控除制度は頭が痛い制度になっています。

何十枚、中には百枚を超える領収書をお持ちになるお客様が何人もみえます。
税理士事務所側では、医療費控除の対象になるかどうか判断し、集計します。
多くは、数百円という少額の領収書です。集計にはかなり時間がかかります。

集計の結果、医療費の年間合計が10万円を超えたとしても、
超えた金額に税率をかけた金額が税金の還付額になるため、
還付額がわずかなことが多いです。

還付額がわずかなのに、作業コストを還付額以上にお客様に請求することもできません。

集計の結果、10万円いかなかったときは最悪です。
もちろん、医療費控除の適用を受けることはできませんし、
となれば当然この作業の料金をお客様へ請求することはできません。

つまり、医療費控除は、税理士事務所にとってはあの繁忙期に、
時間がかかる上に収益が上がらないという、やっかな制度にもなっています。

マイナンバーを使って医療費控除の申告を簡単に

今回の計画は、この「医療費控除」にマイナンバー制度を活用して申告を簡単にしようとするものです。

具体的には、
・医療機関で診療等を受けた健康保険のデータがマイナンバーにひも付けするようにします。
・そして、その医療費データがマイナンバー制度導入による開設される個人用サイト「マイナポータル」に集めます。
・納税者は、この「マイナポータル」の医療費データを税務署にインターネット経由で送れば、領収書が不要になります。
というこものです。

確かにこれが実現すれば、現状よりは利便性はかなり上がりそうです。

・納税者が領収書を保管する必要がなくなります。
・集計をする必要もなくなります。
・確定申告が簡単になります。
・税理士事務所側も時間とコストがかからなくなります。
からです。

mynumber








この計画の問題点

しかし、次の問題点もあるのはないでしょうか。

(1)市販の医薬品の代金や、保険がきかない医療費(自由診療)など、保険診療以外の医療費については、
現状と同様に領収書の保存と提出が必要となる。

(2)高齢者などインターネットを利用していない人は利用できない。

(3)インターネットを利用していても、その操作がわからない人がでる可能性が高い。

これら問題点の解決法の提案

これらについての問題点を解決する方法をして、次を提案したい。

・保険診療以外のデータについては、追加入力できるようにして集計を楽にし、
領収書は画像やPDFファイルでも添付できるようにする。
→(1)の問題を解決。

いっそのこと、保険診療以外の医療費を医療費控除の対象からはずす、ということもありではないでしょうか。

「利便性を上げる」→「効率をよくする」→「例外をなくす」ということですから。

・本人だけでなく、家族や税理士が代理で医療費データを取得するしくみも用意する。
→(2)と(3)の問題をある程度解決。

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