消費税インボイス制度開始時において特に留意が必要な事項(注意点)

2023年08月23日
 
 こんにちは。名古屋市の税理士 米津晋次です。

 消費税インボイス制度の開始(2023年10月1日)が近づいてきました。

 今回は、消費税インボイス制度において特に留意が必要な事項(注意点)について説明いたします。

いつまでにインボイス登録申請をするのか?


2023年9月30日まで


 インボイス登録申請は、2023年9月30日(土)までに申請書を提出する必要があります。
 具体的には、

◆e-Taxの場合


 e-Tax(電子申請)で登録申請書を提出する場合は、2023年9月30日(土)の23時59分59秒までに送信します。

◆紙で郵送の場合


 登録申請書を紙で作成し郵送する場合は、2023年9月30日(土)の消印が必要です。

◆税務署窓口へ提出の場合


 登録申請書を紙で作成し税務署窓口へ提出する場合は、2023年9月30日(土)の17時までに提出します。

 ただし、期限近くに申請すると、インボイス交付時期まで登録番号の通知が届かない可能性が高いので、できるだけ早く登録申請をしましょう。


(引用:国税庁)

インボイスの交付対象義務


インボイスの交付義務はいつの取引から?


 インボイスの交付義務が生じるのは、2023年10月1日(日)の取引からです。
 具体的には、次の日が2023年10月1日(日)以降になる場合、インボイスの交付義務が生じます。

◆商品等の販売


 商品等を販売する場合は、原則として商品等の引渡日(売上計上基準が出荷基準の場合は出荷日、検収基準の場合は検収日)

◆サービスの提供


 サービスの提供の場合は、役務の全部が完了した日

◆具体例


・2023年9月の取引を10月に請求する場合は、インボイスを交付する必要はありません。
・2023年9月中に請求書を出し、10月に納品する場合は、インボイスを交付する必要があります。この場合、納品時にインボイスを交付するか、請求時にインボイスを交付するかになります。

◆10月1日より前からインボイス交付のOK


 インボイスの交付を2023年10月1日より前から交付しても問題ありません。

10月1日に登録番号が届かない場合


 2023年9月30日までにインボイス登録申請をしたものの、2023年10月1日までに登録番号の通知が届かなかった場合は、次のように対応します。

売手の対応


 たとえば次の対応方法があります。
(1)事前に相手先にインボイスの交付が遅れる旨を伝え、登録番号の通知後にインボイスを交付する。
(2)登録番号の通知を受けるまでは登録番号の記載のない請求書等を交付し、通知後にインボイスを再交付する。
(3)登録番号の通知を受けるまでは登録番号の記載のない請求書等を交付し、登録番号の通知後にすでに発行した請求書等との関連性を明らかにした上で登録番号をお知らせする。


(引用:国税庁)

インボイス事後交付が難しい小売店の場合


 上記の対応が難しい小売店の場合、まず事前にインボイスの交付が遅れる旨を店頭やホームページでお知らせをします。
 登録通知後に、店頭やホームページで「弊社の登録番号は『T1234・・・・』となります。令和5年10月1日から令和5年●月●日(通知を受けた日)までの間のレシートをお持ちの方で仕入税額控除を行う方におきましては、当ページを印刷するなどの方法により、レシートと併せて保存してください」と掲示したり、買手からの電話等に応じ登録番号をお知らせし、相手方にその記録をレシートと併せて保存してもらいます。


(引用:国税庁)

買手の対応


 事前にインボイス登録申請をしたことが確認できたときは、受領した登録番号の記載のない請求書等と事後に交付されたインボイスや登録番号のお知らせを保存することで、仕入税額控除を行います。


(引用:国税庁)

基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者等の場合


 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者は1万円未満の課税仕入れについて、帳簿の保存
のみで仕入税額控除が可能(「少額特例」といいます)ですので、上記対応は不要です。


(引用:国税庁)

簡易課税制度や2割特例を選択する場合


 簡易課税制度や2割特例を選択する方については、仕入税額控除にインボイスの保存は不要ですので、上記対応は不要です。

 ※2割特例とは、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になった方について、納税額を売上税額の2割とする特例です。


受領したインボイスの登録番号を確認する必要があるのか?


 インボイス登録番号が有効かどうかについては、事業者においてご確認する必要があります。
 ただし、全ての取引の都度、確認が必要となるものではなく、取引先の規模や関係性、取引の継続性などを踏まえ、事業者においてたとえば次のようにその頻度等をご判断します。
(1)新規取引先とは、新規取引時に確認
(2)継続取引先は、1年単位で確認(※登録を受けた場合、自ら届け出等しない限り有効であり、取消しも課税期間(原則1年)単位でしかできないため)

 登録番号の確認は、「適格請求書発行事業者公表サイト」で行います。
  →適格請求書発行事業者公表サイト(国税庁)


国税庁公表資料


 上記について、国税庁からも資料が公表されていますので、ご確認ください。

 →インボイス制度の開始に向けて特にご留意いただきたい事項(国税庁。PDFファイル)

 →リーフレット「インボイス制度において特にご留意いただきたい事項がございます」(国税庁。PDFファイル)

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